《波紋noteから1カ月》女性社長 刑事告発が異例スピードで受理も貫くダンマリ…PR会社も未だ音信不通

不信任決議による失職後に行われた兵庫県知事選挙で、再選を果たした斎藤元彦知事(47)。しかし2期目の滑り出しはスムーズとはいえず、百条委員会が調査を進めるパワハラ疑惑の他にも新たな問題を抱えることとなった。
ことの発端は、ちょうど1カ月前の11月20日に遡る。斎藤知事の選挙広報担当を名乗るPR会社「merchu」の折田楓社長(33)が、“選挙中のSNS戦略”を赤裸々に記したコラムをnoteに公開。《広報全般を任せていただいていた》として、プロフィール写真の撮影・キャッチコピーの一新、SNSアカウントの立ち上げ、自ら監修者としてSNS運用などを手がけたと明かしていた。
ところが公職選挙法に抵触する可能性が指摘され、瞬く間に大炎上することに。加えて折田氏のnoteは公開後に内容が一部修正・削除され、さらなる波紋を広げていた。
そんな折田氏だが、11月21日にANNの取材に対して「『答えるな』と言われています」「『答えないで』と言われています」とコメント。現在に至るまで、折田氏やPR会社から疑惑に関する説明はなされていない。
「折田さんが沈黙を守るなか、斎藤知事は11月25日の囲み取材と同月27日の定例記者会見で真っ向から疑惑を否定しました。PR会社には法律で認められたポスターデザインなどの制作費として、約70万円を支払ったと説明。その上で折田さん個人の活動については、“ボランティア”と強調したのです。
27日には斎藤知事の代理人である奥見司弁護士も記者会見を開き、“折田氏個人とは報酬支払いの約束や事実もないことから運動員買収にはあたらない”と改めて違法性を否定。斎藤陣営はPR会社側に広報全般を任せていなかったといい、“双方の認識に違いがある”とのこと。また、折田さんのnoteの内容についても、“事実と事実でない部分があり、盛っている”と指摘していました」(社会部記者)
斎藤知事側が明かしているPR会社に支払った具体的な金額は、「公約のスライド制作/30万円」「チラシのデザイン制作/15万円」「メインビジュアルの企画・制作/10万円」「ポスターデザイン制作/5万円」「選挙公報デザイン制作/5万円」。消費税含めて合計で71万5000円を11月4日に支払ったと説明している。
■告発状が異例のスピードで受理…沈黙守る折田氏には心配の声も
全容が解明されないなか、さらなる展開が――。PR会社への71万5000円の支払いが公職選挙法で禁じられている「買収」にあたるとして、弁護士の郷原信郎氏と神戸学院大学の上脇博之教授が斎藤知事を刑事告発したのだ。
12月16日に告発状が受理されたと一斉にメディアが報じたが、斎藤知事は当初示した姿勢を崩すことはなかった。
翌17日午前に報道陣の取材に応じ、告訴状が受理されたことは「承知している」とコメント。その上で、「本件に関しては、公職選挙法等に違反してる認識がないことに変わりはありません。捜査につきましては、全面的に協力をしていきたいと考えています」と語っていた。
「郷原弁護士と上脇教授が神戸地検と兵庫県警に告発状を送付したのは12月1日でした。それ以前の11月22日には、兵庫県警捜査二課宛てに捜査を求めるオンライン署名も立ち上がっており、世間の関心の高さは相当なものでした。両氏は斎藤知事のみならず、折田氏についても被買収の疑いで告発しています。翌2日にはオンライン会見を開き、“斎藤知事側の弁解はなかなか通らない”として違法性を指摘していました。
また告発状が受理されたことについて、郷原弁護士は同日に更新したXで《今回、告発状の到達から2週間で、しかも、検察、警察双方で告発受理に至ったのは、異例の取扱いであることは確かです》と主張。一般的に告発状が受理される目安期間というものはありませんが、捜査機関の方針などで半年以上先に受理されることもあります。これほどスピーディーに受理されたということは、捜査機関も事態を重く見ているということでしょう」(前出・社会部記者)
さらに12月20日には、告示前の10月上旬に斎藤陣営の広報担当者から「SNS監修はPR会社にお願いする形になりました」とのメッセージが支援者に送られていたと、読売新聞オンラインが報じている。
いっぽう気がかりなのは、折田氏だ。先述のように現在まで折田氏側からは疑惑に対する説明はされておらず、ダンマリを貫いている状況だ。
「折田氏はnoteの内容を一部削除・修正していただけでなく、解放していた自らのインスタグラムのコメント欄を制限し、YouTubeチャンネルもコメント機能を無効に。Facebookに関しては、過去の投稿を全て削除していました。またPR会社のホームページも修正され、会社の活動を報告するブログなどは削除されてしまいました。コメントなどは発表しないものの、ひっそりと“事後対応”はしていたようです。とはいえメディアの取材にも応じておらず、心配の声も上がっています」(前出・社会部記者)
本誌も12月19日に、PR会社のホームページに掲載されているメールアドレスを通じて取材を申し込んだが、返事が返ってくることはなかった。またPR会社に何度か電話をかけてもつながらず、留守番電話に切り替わるのみだった。
コラムには、《SNS戦略については、こちらのnoteでは収まりきらないので、また別記事で公開できればと思っています》ともつづっていた折田氏。自らも告発され窮地に陥ってしまった現実と、どのように向き合っていくだろうか。