「熊を虐殺して楽しいか?」秋田県議のもとにまたも寄せられた“殺処分反対派”からの抗議

秋田県の佐竹敬久知事が12月17日、クマを駆除した際に、県に苦情の電話が殺到したことを受け、県議会で「私なら『お前のところにクマを送るから住所を送れ』と言う」と発言し、その容赦なき姿勢に注目が集まった。
11月30日には秋田市のスーパーにクマの立てこもり事件が発生するなど、今年もクマの市街地への出没が相次いでいる秋田県。クマの駆除が報じられるたびに自治体に苦情の電話が寄せられることを問題視しての発言だ。
悪質なクレームに対し「知事が言うと悪いかもしれないが、話して分からない人に付き合う必要はない」と言い切った佐竹知事。委員会後に報道陣から発言の意図を問われると「空想の話。私が強い態度を取らないと、職員もできない」と真意を語り、職員が悪質なクレーム電話に対して毅然とした態度で対応できるよう、あえて強い表現を用いたと説明した。
本誌の取材では、この報道後に秋田県庁に18日17時の時点までに63件の電話が寄せられたことを確認。その内の約半数は、”クマを送る”ことや、知事の表現を批判する内容だったという。30分や1時間近く対応を迫られるケースもあったといい、一時的に業務はパンク状態だったという。
さらに、秋田県議会議員のもとにも、またしても抗議のメールが寄せられているという。
これまでにも《殺すことしか考えない野蛮な議員》などと、クマの駆除に反対する人から苦情のメールが寄せられたことをXで投稿してきた秋田県議会議員の宇佐見康人氏。Xで18日、《またアレなメールがきましたが、楽しんで読んでます》として、自身への抗議メールを皮肉たっぷりに公開した。
問い合わせフォームの姓名の欄は「姓:野蛮人どもへ」「名:クソ野郎」「ヨミ:クソヤロウ」といった具合で、住所や電話番号はでたらめの数字や複数の都道府県名が書かれていた。「備考欄」に書かれた苦情は、
《熊を虐殺して楽しいか? お前ら秋田県人の野蛮さを可視化できた! 次の選挙は絶対に落としてやるからな! 熊を絶滅させて楽しいか? 熊の棲家を奪ってるのはお前ら人間だろ! 何で一緒に生きていこうと思えないんだ? だから野蛮民族なんだよ! お前も自民党も全員落としてやるから楽しみにしてろよ? 送りたきゃ送ってみろよ! いくらでも共生してやるよ? お前らと違ってこっちの人間は賢いからな?》
このメールについて宇佐見氏は、《でもわざわざWEBの問い合わせフォームから送るより、他に労力を割いた方が熊も貴方も幸せですよ》と呼びかけ、《あと、アレなので理解出来ないと思うけど、絶滅狙ってないし、種の保存はしてるし、秋田の森林面積変わってないし》と現実を説明した。
さらに、ポストの最後には《送り先書いてないし》と、差出人の《送りたきゃ送ってみろよ!》の発言に対してチクリと指摘。また、続く投稿で誹謗中傷に対しては《クソみたいなメールはこれからも公開しますし、誹謗中傷が酷いのは何もせずに開示請求してますよ》と、悪質な苦情には徹底抗戦の構えを示した。
宇佐見氏は過去の投稿で、《県民市民の生命と財産を守るための判断》と、やむを得ない場合のクマの駆除に対する自身のスタンスを明かしている。
また、12月20日には《まず、未来の話も大切ですが現在の住民の命、安全安心が第一であるというのは原則として認識して欲しいです。その上で秋田県はこれまで、ツキノワグマをはじめとした自然との共存、共生を計画し進めてきました。無闇矢鱈に駆除をしているわけではありません。市街地に出てしまった「個体」の駆除はしますが、「種」の存続に影響を与えないようにするのは基本中の基本であるのに、絶滅をさせようとしていると考える人が一定数いて、本当にアレな人たちの考えが全く理解できません》と、秋田県として自然との共生には取り組んできていることを説明し、そのうえで市街地に出没してしまった個体の駆除への理解を求めた。