「高速VS下道」少しでも早く帰省するには? 年末年始の渋滞予測「前年比1.5倍」で“ノロノロ運転”不可避

年末年始といえば、言わずもがな日本中でふるさとに帰省する人が増える時期。一般論でいえば、大家族になるほど公共交通機関よりクルマを使って移動したほうが経済的といえるケースが多い。
そのためマイカーでの帰省を選ぶ人は多いが、大敵となるのが「交通渋滞」だ。
いわゆる自然渋滞というのは、道路のキャパシティーを超えた交通量によって発生するものといえる。年末年始をふるさとで過ごそうと、多くの人が一斉に高速道路を利用しようとなだれ込むため、長い渋滞が生まれやすいのは自明だ。
実際、高速道路を管理するNEXCO各社と日本道路交通情報センターが共同で発表した年末年始(12月27日~1月5日までの10日間)の渋滞予測は、非常に厳しいものとなっている。
今年は12月28、29日、そして1月4、5日が土日となり、多くの会社員が自然に9連休となることが見込まれる。こうした背景もあるのだろう。予測の10日間のうち、10㎞を超える渋滞が発生する回数は全242回と算定されている。
ちなみに、前年の渋滞発生は166回だったので、約1.5倍増。ドライバーにとってはなんとも頭の痛い状況だ。
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今年の年末年始の渋滞はヘビー(NEXCO各社と日本道路交通情報センターが共同で発表した年末年始渋滞予測より)

「高速を回避して下道」が悪手なわけどうやら、例年以上にハードになりそうな今年の渋滞。うまく回避する方法はあるのだろうか。
高速道路で渋滞にハマっているときに、並行してのびる下道(一般道)がスイスイと流れているのを目にすると「高速道路を降りたほうが早く着くんじゃないか」と誘惑されることもあるだろう。だが、一般論でいえば、下道を走るというのは悪手だ。
一見すると渋滞していないように見えても、下道には交差点が多くあり、信号で止まることが多い。まともにアクセルを踏めないような高速道路の渋滞であっても、完全に停止するようなことがないくらいのペースで流れているのであれば、下道より平均速度が稼げるケースのほうが多いだろう。
さらにいえば、渋滞している高速道路から降りるときと、再び高速道路に乗るときのインターチェンジでのノロノロ運転も覚悟しなくてはいけない。
突発的な事故渋滞を避けるために、タイミングよく下道に降りて、事故区間を過ぎたあたりで高速道路に乗りなおすという手がうまくいくことはあっても、単なる自然渋滞を避けるために下道を使って早着することはまれといえる。
こまめな車線変更もあまり意味はないまた、渋滞の中でこまめに車線変更するドライバーもいるようだが、これも経験則的には大差ない。接触事故などを起こしてしまうと事故処理で大幅にタイムロスをしてしまうし、その後も大変なことになる。
最新のADAS(先進運転支援システム)を搭載しているクルマであれば、渋滞時に先行車に追従して速度を調整、車線を維持する機能がついている。むしろ、そうしたADASを活用することで疲労を減らして、帰省先で存分に楽しむ体力を温存するほうがスマートな帰省ドライブといえるのではないだろうか。
渋滞回避の王道は日時ずらしだがさて、渋滞回避の王道は「日時をズラすこと」だ。これはNEXCO各社も推奨している。
年末年始10日間における渋滞予測の内訳をみると、下り線が95回、上り線が147回となっている。単純に平均値をとると下り線では毎日10回弱、上り線では15回程度の渋滞が発生することになる。だが、実際には渋滞が発生する日は特定の日時に集中している。
たとえば上り線の渋滞については1月2日~4日までの3日間で、111回が発生すると予測されている。これは予測されている渋滞回数の実に約75%だ。逆にいえば、この3日間を外せば、壊滅的な渋滞に巻き込まれることは避けられると期待できる。
NEXCOの予測でも、12月31日と1月1日にはほとんど渋滞が発生しない。せっかく帰省するなら実家で新年を過ごすことが最大の目的と考えられ、この2日間に渋滞が起きづらいのは当然ともいえるが。
もちろん、多くの人が仕事の都合などもあって休暇の日程を自由に選ぶことができないため、上り線でいえば新年の3日間に渋滞が集中してしまうわけで、「わかっちゃいるけど避けられないんだよ」という声もあるだろう。
日程ずらしがダメなら時間帯ずらしもそれならば、時間帯をズラすという手がある。
たとえば、1月3日の東北自動車道・上り線では埼玉県の加須(かぞ)インターチェンジ付近を先頭に最長35kmの渋滞が予測されている。時間帯としては、お昼過ぎから渋滞が伸び始め、ピークは17~18時になるとされている。

この時間帯を外し、午前中のうちに通過できるようにする、もしくは思い切って渋滞が解消するであろう23時過ぎに通過するスケジュールを選ぶという時間帯のシフトは、渋滞回避の有効な手段といえる。
このあたり、帰省するエリアと帰宅すべき場所の関係で、適切な時間帯は十人十色となる。事前の渋滞予測をチェックして、自分のベストといえる時間帯のめどをつけておくといい。
いずれにしても、2024年は前年比で渋滞回数が増えるという予測があるのだから、早めにスケジュール調整をするなり、最大限の工夫をすべきだろう。
渋滞回避の時間ずらしで注意すべきことなお、渋滞を避けるために、早朝や深夜の出発がベターとなることもあるだろう。そこで気を付けたいのは慣れない時間帯に走る危険性だ。
暗い時間帯は事故リスクがどうしても高くなりがちだ。「急がば回れ」ではないが、大事なのは安全であることはいうまでもない。早朝や深夜の走行を選ぶにしても、無理無茶はしない。そうした判断も、それはそれで賢明だろう。
むかしから「無事是名馬」「帰宅するまでが遠足」という。年末年始だからこそ、時間がかかっても安全走行を最優先し、最後まで気を抜かず、気分よく自宅で新年を迎えてほしい。
まとめ
・2024年の渋滞発生回数は前年の約1.5倍
・「高速を回避して下道」は悪手
・こまめな車線変更は無意味
・最新のADAS活用はあり
・王道は日時ずらし
・日程が無理なら日時ずらしも
・無事に自宅に戻るまでが年末年始