北九州の小倉南区で今年5月、長さ1メートル超のロケットランチャーが発見された事件――。発見後に福岡県警は殺傷能力の有無などを含めた鑑定をしていたが、今月23日、発見されたロケットランチャーが〝本物〟であることを確認した。
社会部記者が事件の経緯について説明する。
「今年5月、小倉南区の河川敷を散歩していた男女がピストルなどが入った箱のようなものを発見し通報。通報を受けた捜査員らが現場周辺を捜索したところ、手りゅう弾数個とプラスチック製の箱に入った拳銃のようなもの数丁を発見しました。さらに周辺からはケースに入った長さ1メートル超のロケットランチャー数基が見つかりました」
発見時は避難指示のもと、140人体制で対応多数の銃火器が見つかった現場周辺は紫川と住宅街に挟まれた空き地で、発見者のように河川敷の散歩コースにもなっているのどかな場所。万一の場合、住民に被害が及ぶ危険性も高い。
事態を重く見た県警は、爆発物処理班を含む140人体制で対応にあたり、100メートル以内の住民に避難を指示。閑静な住宅街は当時、一転して緊張に包まれたという……。
北九州では過去にも銃火器押収の”前科”「北九州では2012年にも特定危険指定暴力団・工藤会の関係者が管理する倉庫からロシア製の対戦車砲RPG―26、ロシア製の拳銃マカロフなどが押収されていることから、ロケットランチャー発見時にも工藤会の関与がマスコミ周辺で取り沙汰されました」
工藤会は北九州最大規模の暴力団で、過去には暴力団追放運動の関係者宅に手りゅう弾を投げ込むなど危険極まりない組織として知られている。同会の野村悟会長は現在、市民を襲撃した4つの事件などに問われ上告している。
こうした工藤会の特性や土地柄を鑑みると、「警察当局は(今回の件に関しても)工藤会の関与が推認できるとしています」(同前)
ロケットランチャーなどの銃火器が発見された河川敷は私有地で、所有者の元不動産会社代表者は数年前にすでに他界。今のところ「銃火器との関連は不明」(同前)だという。
鑑定の結果『弾を発射させる機能を有している』「銃火器発見以降、県警は科学捜査研究所や自衛隊などに協力を依頼し、殺傷能力の有無の鑑定を続けてきました。その結果、ロケットランチャーは分解していない状態で弾が装填(そうてん)されており、『弾を発射させる機能を有している』との鑑定結果が出ました。ロケットランチャーとともに発見された手りゅう弾数個の鑑定結果は不明で、拳銃数丁はいまだ鑑定中です」(同前)
本物と鑑定されたロケットランチャーはその形や大きさなどから2012年に発見されたRPG―26クラスの破壊力を持つとみられ、40センチ前後のコンクリート壁を貫通するといわれる。
福岡県警はこれら銃火器が発見場所に〝保管〟されていたのではなく〝投棄〟されていた可能性が高いと見ているが、銃刀法違反、爆発物取締罰則違反容疑等を視野に入れ、捜査を進めているという。