1月13日から宮崎県でのキャンプをスタートさせ、新体制が本格的に始動したアルビレックス新潟。指揮官に樹森大介新監督を迎え、昨季J2を戦った主力級の選手などが合流した「新潟史上最高」を目指すチームの新体制を詳しく見ていく。
昨季はクラブ史上初のルヴァンカップ準優勝を果たし、「2025年こそは」と期待が高まる中、松橋前監督がクラブを去り注目されていた後任人事。そこで、白羽の矢が立ったのが、J2水戸のコーチを務めていた樹森大介さんだ。湘南や水戸でプレーし、現役引退後は長年、水戸ユースの監督を務めるなど、育成年代の指導にあたり選手の育成に強みがあると話す一方、トップチームの監督は未経験だ。ただ、「新潟のスタイルだったら、僕もそのままの形でやっていける、それプラスアルファ自分の色を出してやっていけば、さらに新潟が良くなるんじゃないのかなっていう思いもあったので決断できた」と、自身にとって新たな挑戦に踏み切った理由を語った樹森監督。ボールを支配するアルビのサッカーは大きく変えずに、攻撃のゴール前の動きのスピードアップや、立ち位置を修正し、守備の面でのプレスのかけ方や攻守の切り替えをより速くすることなどに取り組む方針だと明かした。そして、今月9日の新体制発表会見で樹森監督は今季の目標について「新潟史上最高」を目指すと宣言。2007年のJ1リーグ6位や去年のルヴァンカップ準優勝などを目標にするという。
また、会見には新たに加入する8人の選手も出席した。移籍加入選手5人はいずれも昨季はJ2のチームでプレーをしていたものの、主力級の選手ばかりだ。特に徳島から加入したDFの森昂大はJ2リーグ全38試合に出場し、そのうち37試合でフル出場していて、昨季は失点数59と、J1リーグ5番目の多さだったアルビの守備改善に期待がかかる。森は「組織で守るというなかで自分がリーダーシップをとってやるくらいの気持ちでやっていけば、失点も少なくなると思うし、そこを新潟で発揮できれば」と意気込む。このほか最終ラインでは、昨季に特別指定選手として大学生ながらJ1のピッチを踏んでいる稲村隼翔が正式加入。この冬は所属する東洋大学で全日本大学サッカー選手権大会でも優勝し波に乗るルーキーは背番号3を背負う。稲村は「過去に千葉さんがつけていた番号で、昨季まではトーマス・デン選手がつけていて、選手としても人としても愛される選手だなと思っていますし、自分もそういう選手になりたいと思ってつけさせてもらった」と、その覚悟を口にした。
そして、1月11日に新潟市中央区で開催された激励会には約1400人のサポーターが参加。「きょうは自分のためにこんなに集まってもらって、本当にありがとうございます。すいません1年目から(座り位置の)センターをいただけるなんて思ってなくて」という挨拶で会場を沸かせたのが、熊本から完全移籍で加入したGK田代琉我だ。チームのムードメーカーとしてだけでなく、新たな守護神候補として名乗りをあげる。また、チームには3年間の期限付き移籍の間に世代別代表にも選ばれたGK藤田和輝も復帰。昨季リーグ戦33試合に出場し、2023年には日本代表に招集された小島亨介や、ルヴァンカップの決勝でゴールマウスを守った阿部航斗といった主力2人が抜け、ゴールキーパーは激しいポジション争いが予想される。新加入・復帰組に加え、昨季はチーム最多の出場時間を誇り守備の要となったSB藤原やチーム最多得点を挙げたFW谷口、アルビのサッカーの核を担うボランチの秋山などが残ったアルビ。これからチームに合流する予定のオーストラリア代表DFゲリアやブラジル人MFを含めた総勢32人の選手で新潟史上最高を目指す。激励会に駆けつけたサポーターは「新体制になってメンバーの入れ替えが多かったので、顔ぶれを見てシーズン始まるのがよりいっそう楽しみになった」や「新潟史上最高を目指して我々も史上最高の応援をする」などと期待を口にした。
そして13日早朝、チームは宮崎でのキャンプに向け新潟を出発。昨季J2藤枝でリーグ戦全試合に出場し、16得点をあげ、最優秀ゴール賞も受賞した矢村健は「ゴール前のシュートやゴールへの貪欲さっていうところでは誰にも負けてはいけないと思っている」とキャンプで自身の強みをアピールし、開幕スタメンを狙う。そして、キャンプで初めて選手のプレーを見ることになる樹森監督は「フラットな目で全員をゼロから見ていきたいと思うし、キャンプ地が変わるごとにチーム作りをどんどん強化していきたい。攻撃だけ、守備だけではなく全てにおいて重点的に取り組んでいきたい」と意気込んでいる。宮崎での1次・2次キャンプは2月1日まで行われ、2月5日からはキャンプ地を高知に移し開幕に備える。
1月14日時点、アルビレックス新潟で2025シーズンを戦う選手の背番号・ポジションは以下の通り。1 GK 藤田 和輝 (J2千葉から復帰)2 DF ジェイソン カトー ゲリア (メルボルン ビクトリーFC/オーストラリアから移籍加入内定)3 DF 稲村 隼翔 (東洋大から新加入)4 DF 岡本 將成 (J2鹿児島から復帰)5 DF 舞行龍 ジェームズ6 MF 秋山 裕紀7 FW 谷口 海斗8 MF 宮本 英治 9 FW 矢村 健 (J2藤枝から復帰)11 MF ダニーロ ゴメス13 MF 落合 陸 (J1柏から完全移籍加入/昨季はJ2水戸でプレー)15 DF 早川 史哉16 FW 小見 洋太18 FW 若月 大和 (J2山口から完全移籍加入)19 MF 星 雄次21 GK 田代 琉我 (J2熊本から完全移籍加入)22 MF 新井 泰貴 (J2藤枝から完全移籍加入)23 GK 吉満 大介25 MF 藤原 奏哉28 FW 太田 修介30 MF 奥村 仁31 DF 堀米 悠斗33 MF 高木 善朗35 DF 千葉 和彦38 DF 森 昂大 (J2徳島から完全移籍加入)41 MF 長谷川 元希42 DF 橋本 健人46 MF 笠井 佳祐 (桐蔭横浜大から新加入)48 MF 大竹 優心 (J3YS横浜から復帰)71 GK 内山 翔太(新潟U-18から昇格)99 FW 小野 裕二