那覇市・国際通りの街路樹、昔はヤシじゃなかった 沖縄らしい風景テーマにシンポ

県は「沖縄らしい風景づくりシンポジウム『教えて!! 風景の専門家さん』」を16日、那覇市の県立博物館・美術館で開いた。琉球歴史研究家の賀数仁然さんが講演し、賀数さんを含む6人の専門家が、事前に募った質問にそれぞれの視点で答え「沖縄らしい風景」について議論した。
第1部で歴史と文化の観点から講演した賀数さんは、国際通りにある街路樹の変化を例に挙げ、「沖縄らしい風景は時代によって変わる」と説明。現在はヤシの木が並んでいるが、以前はヤナギの木が植えられていた。1959年ごろの記録によると、本土から那覇に100本のヤナギが贈られ、本土復帰の機運を高めたという。
さらに、那覇市の開南交差点から与儀交差点で、かつて漆器店や仏具店が立ち並んだ通称「仏壇通り」を紹介。戦後、先祖のために仏壇を仕立てた人々に思いをはせ「(通りには)沖縄の人の心情が隠されていて、とてもいとおしい。ほっとするような景色を残していきたい」と締めくくった。
第2部では、まちづくりファシリテーターの石垣綾音さんをコーディネーターに迎え、植栽や広告、都市計画などに詳しい専門家たちが意見を交わした。
1級建築士の仲本昌司さんは「人々の行動そのものが風景をつくる。どこかから持ってきたかっこいいデザインではなく、沖縄の気候風土と向き合って考えられた設計が沖縄らしい」と話した。植栽に詳しい多田弘さんは「その土地にある素材を生かしていけたら」と語った。
シンポジウムは13回目で、会場とユーチューブ配信を合わせて約180人が参加した。(社会部・末吉未空)那覇市・国際通りの街路樹、昔はヤシじゃなかった 沖縄らしい風…の画像はこちら >>

沖縄らしい風景について、歴史や文化の観点で講演する琉球歴史研究家の賀数仁然さん=16日、那覇市の県立博物館・美術館講堂