昨年12月に成田市で発生した火災で、炎上中のアパートから逃げ遅れた30代女性を救出したとして、成田署は17日、いずれも内装業の吉野雅之さん(33)=成田市=と石山星久斗さん(29)=千葉市=に感謝状を贈った。
同署によると、火災は昨年12月26日午後3時25分ごろ、成田市三里塚御料の計6室ある2階建てアパートで発生。2階の一室が火元とみられ、建物を全焼し、消防によって約2時間半後に消し止められた。
火災発生当時、女性は火元の隣部屋に一人でおり、炎と煙が広がっていたため玄関から脱出できず、ベランダにペットの猫とウサギとともに逃げていた。2人は現場近くで新築住宅の内装工事に従事し、作業車内で休憩していたところ、アパートから出る黒煙と女性の「助けて!」と叫ぶような声に気付いた。
2人は即座にアパートに駆け寄ると、吉野さんが「階段の踊り場からベランダによじ登れそう」と判断。石山さんが女性の元に向かい、まずはペットを受け取って吉野さんにリレー。次に石山さんが女性を抱きかかえるようにしてベランダを乗り越えるのを助け、踊り場で待つ吉野さんががっちりと受け止めた。
消防到着前に救出を終え、火事発生に気付いていない他の住人にも逃げるよう促し、死傷者は出ずに済んだ。感謝状贈呈式後、2人は「炎が見え、火がはじけるような音も聞こえた。今思うと恐怖を感じるが、目の前で命が危ない人がいるのに助けない選択肢はなかった」と振り返った。
感謝状を手渡した佐藤和彦署長は「危険を顧みずにいち早く現場に駆け付け、命を助けるのはなかなかできないことだ」とたたえた。