[社説]辺野古14訴訟終結 解決の道閉ざした司法

司法はまたも県の訴えを門前払いとした。
名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が国土交通相による決定の取り消しを求めた訴訟で、最高裁は県の上告を退けた。これにより国と県によって争われていた一連の訴訟14件は全て終結したことになった。
沖縄防衛局は2020年、大浦湾側の軟弱地盤改良工事のための設計変更を申請したが、県は不承認としていた。防衛局からの審査請求を受けて国交相は22年に県の不承認を取り消す「裁決」をした。
県は裁決取り消しをもとめたが、一審、二審とも国の裁決に対し県が争えるとする規定は地方自治法などになく、県に訴訟を起こす適格性がないと判示していた。
最高裁も上告理由に当たる判例違反がないと判断したのである。
2015年11月に国が県を相手取り代執行訴訟を提起してから繰り返された訴訟は、和解・取り下げの4件を除き、判決が出た10件で県の敗訴が確定したことになる。
翁長雄志知事以降10年間の訴訟で県側が提起したのは、国による新基地建設強行は「地方自治を侵害する」との主張や自然環境への影響、そもそもの実現可能性など多岐にわたる。
辺野古新基地については選挙や県民投票などで再三にわたり反対の民意が示されてきた。そのため県は司法の場に問題の解決を託したのである。
しかし最高裁で弁論が開かれることは一度もなく、こうした訴えについて判断が示されることはほとんどなかった。
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一連の訴訟の性格をよく表したのは軟弱地盤改良のための設計変更申請を巡る訴訟だ。
防衛局の申請を不承認とした県に対し、国土交通相は承認するよう求める是正の指示を行った。「違法な国の関与」として指示の取り消しを求めた県に対し、最高裁は「国が取り消す裁決をした場合、県はそれに従うべきだ」としたのである。
国が取り消した裁決を県が再び不承認とすれば「紛争の解決が困難になる」として、地方自治法上でも国の裁決が優先されるとの判断を示した。
国と県との関係を「対等」と定める法の趣旨を素通りした判示だ。
こうした「裁定的関与」については地方分権の趣旨にそぐわないとして他県からも異論が出ている。
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結局のところ同法の立て付けが安全保障や基地の問題を解決するものとなっておらず、国の勝訴は最初から予定されていたとも言える。
「代執行」は地方自治法に基づくものだが、司法は、過去に一度もなかった強権が、沖縄に発動されたという問題こそを考えるべきだ。
辺野古の埋め立ては軟弱地盤改良工事をはじめ大量の土砂調達による環境問題や、生態系への影響などなおも課題が山積している。
これらをどう打開していくのか。県も問われている。