給食費の引き上げに悲鳴を上げる家庭も少なくない。逆にコストを抑えるため十分なメニューが提供できなくなれば、子どもたちの成長に関わりかねない。
折からの物価高の影響をこれ以上子育て世帯に負わすことのないよう、無償化の動きを前に進めてほしい。
那覇市が4月から市立中学校の給食費の完全無償化を決めた。小学校も半額補助とする。
市の給食費は中学生が月5900円、小学生は同5100円だが家計負担を考慮し現行でも一部を補助。現在は中学5千円、小学4500円となっている。
このうち中学生については、県が2025年度から給食費を半額補助する「無償化支援事業」を活用。残り半額を市が負担することで完全無償化とする。
小学生は市の一般財源や国の物価高関連の交付金を充てるなどして半額とする。
中学給食費の無償化を巡っては、県が昨夏に半額補助を打ち出したものの、事前に説明がなかったことなどで一部の首長が反発していた。その後、県が市町村への説明会を開催してきた経緯がある。
知念覚市長も「補助の対象を広げるべきだ」と指摘していた。一方、自身も給食費無償化を公約に掲げており、県の支援事業に併せて導入を決めた形だ。
市内約2万7千人の児童生徒が無償化や半額の対象となる。
ただ、国の交付金は1年限りだ。これを第一歩として拡充・継続へさらなる財源確保が必要となろう。
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食材費高騰の影響を受け県内では一部の自治体が来年度から給食費を引き上げる方針を示している。
特に中学生については月額1人当たり千円以上引き上げる自治体も。中学の給食費が月6千円となるところもあり、家計への影響は大きい。
学校給食は教育活動の一環である。重過ぎる負担は平等に教育を受ける権利侵害ともなりかねない。各自治体は県の支援事業を積極的に活用するなど、少しでも負担を低減する努力が求められる。
県内41市町村中、現在、無償化しているのは18市町村で、21市町村が一部補助となっている。
県内の全ての小中学校で無償化するには約63億円かかるとのデータもある。地域間格差を埋めるには、国の支援が欠かせない。
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全国でも学校給食の無償化を求める声が高まっている。
立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の野党3党は公立小中学校の給食費を原則無償化する法案を共同提出した。
一方政府は、給食を提供していない学校の子どもに恩恵が及ばないなど公平性の観点から課題は少なくないとして、慎重姿勢を崩していない。
だが、かつてない物価高に直面している。少なくとも対象者の拡大は検討すべきだ。
無償化実現へ国も責任を果たすべきである。