【速報・追記あり】Xで「住所特定屋」名乗り、個人情報を漏洩 元警察共済職員に実刑 84人分の住所など販売 千葉地裁

SNSで「住所特定屋さん」と称して、警察共済組合本部(東京)の勤務で得た個人情報を販売し漏洩(えい)したとして、地方公務員等共済組合法違反の罪に問われた元職員、富川泰興被告(32)=懲戒免職=の判決公判が28日、千葉地裁であった。西沢恵理裁判官は「漏洩された人の生活が害された。経緯に酌むべき事情はない」として、求刑通り懲役1年6月の実刑判決を言い渡した。
組合によると、年金関係の業務を行っていた富川被告が住所や生年月日などの個人情報を知り得た対象者は、公的年金の全加入者。
判決によると、富川被告は2023年6月~昨年5月、SNSのX(旧ツイッター)に、依頼された人物の住所を特定して教えると投稿。36人の依頼者に対し、業務で使用するシステムを使用して不正入手した計84人分の住所などをダイレクトメッセージを通じて、漏洩した。
業務で使用していたシステムは日本年金機構が管理するシステムと連携している。
西沢裁判官は判決の理由で「実際に生活の平穏を害された人もいて、影響は甚大」と指摘。被告が依頼者の信用を得るため、依頼者自身の情報を3千円で提供していたことや、販売実績をSNSで宣伝していたことに触れ「もっぱら経済的利益を得るための犯行を繰り返していたことは明確」と非難した。
弁護側は、富川被告が依頼者に犯罪行為をしないように求めていて、情報が悪用されると思っていなかったという主張をしていた。この主張に対して西沢裁判官は「第三者の依頼を仲介し、被告に多くの依頼をしていた者の存在も明らか」と指摘。「情報が悪用される危険性について認識していたことに疑いの余地はない」と述べた。
その上で「妻の休業で世帯収入が減っていたという事情を踏まえても、経緯に酌むべき事情はない。他に類をみない悪質な事案」と、懲役1年6月の実刑の理由を説明した。
◆細かく価格設定 別の犯罪誘発も
これまでの公判で検察側によると、被告はフルネームの漢字や生年月日は1万5千円、住所は3万円、実家の住所は2万円と細かく値段を設定。芸能人の個人情報は一般人の5~6倍に設定していたという。
漏洩されたことによってレターパックで覚醒剤が送りつけられたり、借金の取り立て目的で連れ去られてけがを負わされたりする事案が発生したという。