脱サラに成功しやすい職種はある? 事前にしておくべき準備とは

「脱サラして、自由に仕事がしたい」と考えたことはありませんか。しかし、会社を辞めて自分の力で食べていくには、どのような仕事なら可能なのでしょうか。

今回は、脱サラに成功しやすい職種や、実際に脱サラするまでにやっておくべき準備、失敗のリスクを抑える方法などを解説します。

■脱サラに成功しやすい職種5選

脱サラとは「脱サラリーマン」の略で、所属している会社を辞め、独立して自分で事業を興すことをいいます。事業を興すといっても、必ずしも法人を設立する人ばかりでなく、脱サラして個人事業主として働く人もいます。

では、脱サラして「成功する」とはどのような状態を意味するのでしょうか。人によって「成功」の定義は異なりますが、共通するのは「その仕事で生き残れる」「事業を継続できる」ということでしょう。

脱サラして大きく稼ぐことも夢がありますが、まずは「生活していけるだけの収入を継続して得やすい」という点で、5つの職種をご紹介します。
1.Webライター

Webライターは、Webサイトのコラムや電子書籍、ECサイトの商品説明文、商品を売るためのLP(ランディングページ)など、Web上のさまざまな文章を作成する仕事です。パソコン1台あれば誰でもすぐに始められ、スキルを身に付けて経験を重ねることで収入アップを目指せます。

はじめのうちは月数万円を稼ぐのがやっとという人が多いですが、特定の分野を勉強して専門ライターになったり、SEOやコピーライティングの知識を習得したりすると、単価アップや依頼の増加につながっていきます。

また、元々特定の分野に強みがある人は、はじめから比較的高い報酬を得ることも可能です。たとえば、医療や介護の知識がある、友達に相談されるほどコスメに詳しいなど、人に負けない強みがあれば積極的にアピールしましょう。

さらに大きく稼ぎたい場合は、ライターを複数人雇い、自分はマネジメント側に回る方法もあります。
2.物販、ネットショップの運営

物販やネットショップの運営もおすすめです。物販は基本的に、「安く仕入れて高く売る」ことで利益が得られますので、初心者でもわかりやすく、比較的簡単に取り組めます。

「物を販売するのは売れ残りなどのリスクが心配」という人もいますが、在庫を抱えずに販売する方法もありますし、Amazonや楽天市場、メルカリなど複数のプラットフォームで販売するなどリスクを抑える工夫は色々とできるものです。

また、「BASE」「Shopify」「カラーミーショップ」などのネットショップ作成サービスを利用し、ネットショップを開くのもいいでしょう。

物販は流行に関係なく、いつの時代にも存在するビジネスです。さらに、作業を人に任せることで、自由な時間を作ることもできます。収入を得ながら自分の時間も多く確保したいなら、物販やネットショップの運営を検討してみましょう。
3.プログラマー

プログラマーは、SE(システムエンジニア)などが作成した設計に基づき、プログラミング言語を用いてシステムやソフトウェアを作る仕事です。スキルを身に付けるまで仕事を受注することはできませんが、その分、専門知識を活かして長く安定的に収入を得られる可能性があります。

また、ホームページやアプリ、ゲームなど、どのシステムを構築するかによって使用するプログラミング言語は異なりますので、言語を身に付けるほど請け負える仕事の幅も広がります。

プログラミング言語の習得は簡単ではありませんが、「自分の腕一本で長く稼いでいきたい」という人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
4.家事代行サービス

近年、共働き世帯や単身世帯、高齢者世帯の増加にともない、「家事代行サービス」への需要が高まっています。家事代行サービスとは、掃除や洗濯、料理、犬の散歩など依頼された家事を代わりに行う仕事です。

家事代行サービスの仕事をするには、個人(フリーランス)として仕事を請け負うほか、フランチャイズに加盟する方法もあります。「家事代行」と聞くと簡単にできそうな気がしますが、中にはエアコン掃除やキッチンの換気扇掃除など高度なスキルを要するものも含まれますので、その点は注意が必要です。

「家事をしたり、体を動かしたりするのが好き」という人は、家事代行サービスも選択肢の一つに含めるといいでしょう。
5.農業や漁業、酪農ヘルパー

最近では、「農業や漁業などの一次産業に従事したい」という理由で脱サラする人も増えています。また、都心から地方への移住のため、これらの仕事を選択するケースも少なくありません。

農業や漁業に取り組むには、スキルを身に付け、農地や漁業権の確保など事前にさまざまな準備が必要です。しかし、脱サラして農業や漁業に取り組む人には、「会社勤めのストレスから解放されて、のびのびと働ける」と感じている人が多いようです。

また、「酪農ヘルパー」といって、酪農家が休みを取るためのヘルパーの仕事もあります。酪農ヘルパーは、酪農家に代わって牛の乳しぼりや餌やりなどを行います。

「会社勤めを辞めて、自然の中で仕事がしたい」という人は、農業や漁業の始め方、酪農ヘルパーなどについて調べてみましょう。
■脱サラする前に準備しておくべきこと

脱サラして新しい仕事をスムーズに進めるためには、会社を辞める前に、退職後の準備をしておきましょう。次に、脱サラする前に準備しておくべき4点をご紹介します。

1.脱サラ後にかかるお金を把握する

まず、実際に脱サラしてから困ることがないよう、脱サラ後の生活にいくらかかるのかあらかじめ把握しておきましょう。「1ヶ月にいくら生活費がかかっているかわからない」という人は、食費や住居費、水道光熱費などの支出合計を確認してください。

また、毎月の生活費のほか、帰省費用や年払い保険料などの「特別支出」が発生する月もあるはずです。月単位だけでなく、年間を通していくら必要になるかチェックしましょう。

さらに、脱サラすると、厚生年金を抜けることで将来の公的年金が手薄になりますし、病気やケガで休んだ時の傷病手当金も支給されなくなります。そのため、自分で将来の老後資金をしっかり貯めたり、働けなくなった時のため保険で備えたりしておく必要があります。

脱サラしても老後や病気、ケガに備えて安心して暮らすためには、会社員時代よりも自分で用意すべきお金が増えると考えておいたほうがいいでしょう。

2.事業計画を立てる

脱サラ前には、必ず事業計画を立てましょう。事業計画とは、事業に必要な要素を具体的にまとめたものです。たとえば、以下のような内容について記します。

・事業内容
・その事業を行う理由
・事業のターゲット層
・事業の開始時期
・必要な開業資金
・目標とする売上金額

事業計画を立てると、脱サラ後の行動指針となるだけでなく、融資を受ける際にも役立ちます。事業の進め方をイメージしながら、事業計画は何度も練り直しておきましょう。
3.保険や税金など各種手続きについて調べる

脱サラ後の保険や税金の手続きについても、事前に調べておきましょう。会社員を辞めて自営業者になると、健康保険や国民年金の保険料、所得税や住民税などの税金を自分で支払う必要があります。また、会社を辞めたあとの保険証の返却、国民年金の加入申請には期限が設けられています。

脱サラ後は、慣れない事業を始め、こうした手続きまで頭が回らないこともあるでしょう。事業に集中するためにも、前もって手続きの方法や段取りを確認しておきましょう。
4.事業がうまくいかなかった時どうするか考える

どれだけ綿密に事業計画を立てても、事業に失敗してしまうリスクはゼロにはなりません。事業を始める前に、万が一脱サラ後の仕事がうまくいかなかった場合のことも考えておきましょう。

成功するため充分な準備は必要ですが、いざという時の逃げ道を用意しておくことも大切です。逃げ道があるからこそ、「うまくいかなかった時のこともきちんと考えたし、思い切って自分のやりたい事業を始めてみよう」という気持ちが持てるでしょう。

■失敗のリスクを抑えるには

最後に、脱サラで失敗するリスクを抑えるため、前もってできる対策をご紹介します。まずは副業で試す、小資金で始められる仕事を選ぶなど、工夫を重ねて失敗のリスクを低くしましょう。
1.まずは副業や週末起業で試してみる

脱サラ後の事業内容が決まっても、「本当にこの仕事で収入が得られるのだろうか」と不安になるかもしれません。それなら、会社を辞める前に、副業や週末起業でその仕事を試してみましょう。また、全く未経験の仕事を始めるなら、まずはその業種へ転職して経験を積むのもおすすめです。

「早く会社を辞めたい」と思っても焦って退職せず、その仕事で生活するだけの収入が得られるのか、仕事内容は自分に向いているのかを、副業や週末起業、転職でじっくり見極めてみましょう。
2.実際に脱サラした人の話を聞く

一人で脱サラ後の計画を立てても、具体的なイメージを掴むのは難しいかもしれません。そんな時は、実際に脱サラした先輩に話を聞いてみましょう。自分がやろうとしている職種、興味のある職種で独立している人が見つかればベストです。

脱サラしてから今までの道のりや苦労、失敗談、心構えなどを聞き、疑問や不安を相談できれば、事業計画の作成にも大いに役立つでしょう。できる限り多くの人から話を聞くのもポイントです。
3.少ない資金で始められる仕事を選ぶ

小資金で始められる仕事を選べば、万が一失敗した時のリスクを低く抑えられます。反対に、初期費用や固定費が多くかかる事業を選んでしまうと、予想より売上があがらなかった時の資金回収や資金繰りに困る恐れがあります。

まずは小資金で始め、徐々に事業を拡大していけるよう計画を立てるといいでしょう。
4.自分の得意なことや専門知識を生かせる仕事を選ぶ

不得意なことや全く知識のない仕事を始めるより、自分が得意だったり、すでに専門知識を持っていたりする職種に取り組んだ方が、早く大きな成果が出るはずです。

脱サラ後の事業を決める前に、これまでの経験や持っている資格、特技、スキル、興味などを棚卸ししておきましょう。
■脱サラは慎重に、計画的に

脱サラして会社を辞めると、これまで当たり前と思っていた安定収入や厚生年金、福利厚生などを手放すことになります。決して、思いつきや感情のままに退職せず、脱サラ後の生活をよくイメージしながら慎重に計画を立てましょう。

また、まずは、副業や週末起業で新しい職種を経験しておくこともおすすめします。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら