「デートレイプドラッグ」の実情 警察庁が検査キット導入もおぞましい被害は後絶たず

睡眠薬など「デートレイプドラッグ」を使った性犯罪捜査のために、警視庁が新たに導入した検査キットが早速、効果を発揮した。
勤務先のアルバイトの女子大生に睡眠薬入りの飲料を飲ませ、わいせつな行為をしたとして、キャバクラ店員の松宮貴紀容疑者(34)が今月15日、準強制わいせつの疑いで警視庁池袋署に逮捕されていたのだ。
松宮容疑者は3月8日午後7~11時ごろ、「仕事の指導をする」とウソをついて女子大生を自宅に連れ込み、「エステをやってあげる。脱水症状になるかもしれないから、飲んで」と施術同意書に署名させ、睡眠薬入りのスポーツ飲料を渡した。
「女性はすぐに意識を失い、気づいた時はブラジャー以外、何も着けておらず、陰部にバイブを突っ込まれていた。事件翌日、被害者から署に相談があり、キットを活用して尿から睡眠薬が検出された」(捜査事情通)
今後は睡眠薬混入の有無をすぐに調べられることから、被害申告がしやすくなり、捜査の迅速化につながるが、その一方で被害自体は後を絶たない。
内閣府男女共同参画局によると、被害者から寄せられる相談は「カラオケ中、トイレから戻り飲み物を飲んだら意識がもうろうとした」「よく効く頭痛薬だと勧められて飲んだら、体が思うように動かなくなった」といった内容が多いという。
■スマホに残された動画で被害を知るケースも
これまで複数の女性が被害に遭い、犯人から押収したスマホに残された動画を警察から見せられ、初めて被害に遭ったことに気づく女性もいる。

三菱UFJ銀行の元行員、千秋涼祐被告は婚活アプリで知り合った女性9人に対する準強制性交罪などで、懲役22年の判決が出ている。
リクルートコミュニケーションズの元社員、丸田憲司朗被告は就活アプリで知り合った女子大生らに次々と性的暴行を加え、10回逮捕され、スマホには女性約40人の裸の画像が残されていた。
大阪では日本料理のミシュラン店主、榎本正哉被告が日本酒に睡眠薬を入れて客に飲ませ、抵抗できない状態にして店内で乱暴。2件で起訴され、懲役6年6月の判決が出ている。
岡山でゲストハウスを経営していた武内俊晴被告も、睡眠作用のある薬物を酒に混ぜて宿泊客に提供し、度々暴行。これまで8回逮捕されているが、「被害者の名前を言われても思いつかない」と供述している。
経産省のキャリア官僚だった佐藤大被告は、準強制性交などで4回逮捕。佐藤被告は居酒屋やバーで知人女性に睡眠薬入りの飲み物を飲ませ、ホテルや神社でわいせつ行為や乱暴を加えていた。
睡眠薬の多くは飲食物に混ぜられても味はほとんど変わらない。液体に混ぜると青色に変色する睡眠薬もあるが、多くは無色だ。日本では未承認の海外製の睡眠薬が使用されたこともある。即効性があり、体外に出るのも早く、記憶が断片的になる。
いつ、どこで誰に薬を盛られるか分からない。