カードゲーム『甲虫王者ムシキング』の20周年を記念するポップアップショップが29日、マルイシティ横浜7階のイベントスペースにオープンした。グッズ販売のほかに展示スペース(有料、500円)も併設されており、ムシキング研究所所長のネブ博士が見どころや開発秘話を語った。
2003年1月に稼働を開始した『ムシキング』は、カブトムシやクワガタムシなど実在の甲虫をモチーフとした対戦型トレーディングカードゲーム。コレクション要素とじゃんけんをベースにした対戦システムが受け、小学生男子を中心に爆発的なブームを巻き起こした。
ゲームデザインなどで開発に携わったネブ博士は「当時のアーケードでは対戦型カードゲームというジャンルそのものがなく、現在主流になっているカードゲームの原点がムシキングでした」と思い出を語る。「開発陣は子供用のゲームを作っている感覚は全くなく、親子で本気で楽しめるエンタメを目指していました。いつかマンガになったらいいな。アニメになったらいいな。攻略情報が『コロコロコミック』に載ったらいいな…。ムシキングは夢のすべてをかなえてくれた。社会現象になるくらいのブームに育ってくれて、本当にうれしかったですね」と目を細めた。
2000台が稼働すればヒットというアーケード業界で、最盛期には約1万2000台が稼働した。全国各地のおもちゃ売り場などで、親子連れがカードを買い求めた。「子供さんだけでなく、親御さんまでが夢中になっているという話を耳にして、ヒットしていると実感したことを覚えています」各地の店舗では子供たちを集めて対戦会が行われ、銀座では全国大会も開かれた。公式大会は10万回を超え、ギネス世界記録にも認定された。ネブ博士も平日はゲーム開発、週末は大会にゲスト出演と大忙し。ムシキングを知り尽くす白衣姿のネブ博士は、小学生の憧れの存在だった。
20周年を迎え、当時の小学生も“子育て世代”になった。初代『ムシキング』は2010年に稼働を終えたが、後継の『新甲虫王者ムシキング』(15~18年)などにスピリットは引き継がれた。「ムシキングにはいくつかのメッセージが込められていて、ひとつは『自然を大切に』。もうひとつは『あきらめないで戦えばどこからでも逆転できる』というゲーム性です。あの時の子供さんたちが大人になって、“ムシキング精神”で今も各方面で活躍していただいていたら、博士としてはうれしい限りです」。親子2世代でショップを訪れる当時のムシキング戦士の姿を、ネブ博士は心待ちにしている。
【ショップ概要】アクリルスタンドやTシャツなど約25種のグッズを用意した物販コーナーのほか、年代別に約1200種類のムシキングカードを展示。大会のみでゲットできたレアカードや、ロケテストのみで使われた「ロケテカード」も特別展示される。そのほか、開発時に世界観を共有するために開発陣に配られた「ムシキング絵本」の原画を初めて公開。プロレスリング・ノアで実際に登場した覆面レスラー「ムシキング・テリー」のマスクや、全国大会で使用されたチャンピオンベルトなども展示される。5月14日まで。