「うーうー」住民が聞いた不審なうめき声 侵入事件と同じ時間に火災、関連を捜査

1月15日早朝に沖縄県北谷町宮城の2階建てアパート屋上に無断で侵入したとして、沖縄署は30日、米空軍嘉手納基地所属の2等軍曹の容疑者(27)を建造物侵入の疑いで再逮捕した。このアパート屋上では侵入事件と同じ時間帯に倉庫が全焼する火災が起きており、署は放火の可能性も視野に調べている。捜査関係者によると、現場には容疑者のスマートフォンが落ちていたという。
署によると、容疑者は建造物侵入容疑について、「酒に酔っていて覚えていない」と否認している。
容疑者は火災直後、現場から約350メートル離れた民家駐車場に止めてあった他人の車から現金千円を盗んだとして窃盗の疑いで現行犯逮捕・送検された。那覇地検は30日に処分保留で釈放し、その後に署が再逮捕した。
倉庫の火災でけが人はいない。アパートは2階建てで、屋上には外階段でつながっている。
沖縄タイムスの取材によると、火災発生前に複数の近隣住民が不審な物音や人のうめき声を聞いていた。
署は周辺の聞き込みや防犯カメラの精査を進め、容疑者を建造物侵入容疑で再逮捕した。火災との関連についても調べる。
再逮捕容疑は15日午前5時過ぎから同6時20分ごろまでの間、同町宮城の2階建てアパート屋上に無断で侵入した疑い。
■早朝の住宅街 衝撃音と煙 小雨が降る閑静な住宅街でガラスが割れる音が響き、間もなく煙が立ち込める。15日夜明け前に北谷町宮城のアパート屋上で倉庫が全焼した火災。周辺住民は不審な物音を耳にしていた。

アパートの所有者で、1階に住む男性(84)は「けが人がいなくて良かったが、思い入れのある倉庫だったのに」と残念がる。
倉庫は定年退職してから少しずつ建てた「大切な遊び場兼工場」だった。工具もそろえ、簡単なアパートの修理なら自ら手がけた。屋上には太陽光パネルも設置していたが、火災で一部の配電盤が壊れたという。
男性の妻は米兵が建造物侵入容疑で逮捕されたことについて「ニュースで知った。火災の原因が何か知りたい」と驚く。
アパート2階の男性は火災が起きた日の午前6時ごろ、「パリン」というガラスが割れる音を聞いた。その後「バタンッ」と、棚が倒れるような衝撃音がしたという。しばらくして煙の臭いに気付いて窓を開けると、誰かが「火事だ」と叫んでおり、慌てて避難した。
アパートの隣に住む男性は午前5時半ごろ、妻に起こされた。瓶が割れるような音や、「うーうー」という人の声が聞こえ、妻はけんかしているのかと思ったという。夫が勝手口に出て外を確認しても異常は見られなかったが、50分ほど後に倉庫内から炎が見えた。「ものすごい煙だった」と話した。
現場アパートは国道58号から少し離れた住宅街。夜遅くまで営業するバーなどもある。(社会部・矢野悠希)

火災現場を調べる捜査員と消防職員=16日、北谷町宮城のアパート屋上

火災があった現場