災害時の被災者支援や地域創生にも…急増する『キッチンカー』の可能性 登録事業者数は約1年で2.7倍に

キッチンカーが急増しています。これまでのグルメの販売だけでなく、様々な用途に広がっています。
2023年3月29日に発表されたデータによりますと、キッチンカーの登録事業者数は2022年1月に比べて、2023年3月は2.7倍に増えています。 増えた要因は、コロナ禍に密を避けられる点や、固定の店舗に比べてコストを抑えられる点などが挙げられていますが、キッチンカーには“新たな可能性”があるといいます。 愛知県豊田市の公園では3月30日、花見を楽しむ人の姿が多く見られました。そこに花を添えたのは、数々のキッチンカーです。
利用客:「(キッチンカーが)ここに来てくれるなんて思ってなくて。桜を見ながらいつも通る道で飲食ができたら楽しいですよね」 店がない場所に来て、出来立てを提供してくれるキッチンカー。その特徴を生かした政策が、豊田市で始まりました。 2023年1月、豊田市と市内のキッチンカー事業者28店舗が災害協定を結びました。災害が起きた際、市の要請に基づいて事業者がキッチンカーで調理し、避難者に提供することができるようになりました。
市の担当者によると、市の備蓄品は保存の都合で、冷たい食事しか提供できない欠点がありますが、キッチンカーの事業者と協定を結ぶことで、温かい食事を避難者に提供する狙いがあります。 2019年の台風15号の際に、千葉県で避難所や公民館に約4000食の食料がキッチンカーから提供された話を知り、協定を結んだということです。

避難所の生活環境の改善に、機動性に優れたキッチンカーが一役買っていました。キッチンカーの店主:「キッチンカーに乗っているからこそ動けることだと思うんです。やれることはやらせていただきたいという気持ち。(避難所で)おなかいっぱいになれて幸せって、ちょっとでも思っていただけるのがいいことかなと思います」
豊田市の名鉄・浄水駅。改札を出たところに2台のキッチンカーがありました。メキシコ料理を売る店と、からあげやホットドッグなどの軽食を売る店です。 駅周辺は住宅街で飲食店が少ないことから、駅前のキッチンカーは多くの人が重宝しています。街を活性化させようと、名鉄とキッチンカーのプラットフォームを運営する会社が連携し、2023年1月から始まりました。名鉄の担当者:「通勤・通学でご利用いただいているお客さまに立ち寄っていただくことで、駅を楽しんでいただくことに加えまして、駅周辺にお住まいの方々にも駅を訪れていただくことで、駅の賑わいづくりをしていきたい」 日替わりで2台前後、浄水駅前に常設しています。
利用客:「部活終わりとかにおなかが減っているので、素晴らしいと思います」別の利用客:「最近人が増えていて、賑やかだと思います」 駅前に活気が出てきていると感じる地元の人も多いようです。 キッチンカーを活用することで、店を建てるコストを抑えられ、駅前の敷地を活用でき、随時店の入れ替えもできます。 2022年11月に試験的に行ったところ、地域住民から大きな反響があり、常設を決めたといいます。
キッチンカーの可能性について、運営会社は…。シンクロ・フード モビマル事業部責任者:「移動販売だと毎日店を替えられる。来られるお客さんにアンケートを取ったりするんですけど、(客の声を受けて)その場所に合ったマルシェができる、アップデートしていける。そのフレキシブルさが固定店舗ではできない」 今後は、他の名鉄の駅にも出店を予定しているということです。キッチンカーは地域創生にも一役買っていました。2023年3月31日放送