64歳で「性同一性障害」と診断 67歳から女性として生きる“元男性” 69歳で市議初当選 トランスジェンダー議員 小嶋小百合さん「少数派の声を届けたい」愛知・春日井市

2023年4月23日に投開票された統一地方選挙後半戦は、各地で市町村長選と市町村議選が行われました。そのうち、愛知県春日井市議選では定数32に対し44人が立候補するという、激しい選挙区となりました。
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そんな中で、春日井市議選に立候補したのが、長年心と体の性の不一致に長年悩み続けた小嶋小百合さん。“少数派の声を議会に届けたい”と挑戦した彼女の選挙戦を追いました。
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愛知県春日井市議選に立候補した小嶋小百合さん69歳は、20年程前から高齢者を対象にしたパソコン教室「ぴぃそふ」を経営しています。小嶋さんは、体の性と心の性が一致しないトランスジェンダー。2021年に性別適合手術を受け、戸籍上でも正式に女性となりました。
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(小嶋小百合さん)「生きづらさは、ずっと感じてはいた。一時は死にたいと思ったことも」幼いころから男性として生きることに、違和感を覚えていた小嶋さん。自分がトランスジェンダーだとわからないまま、60年間男性として生きてきました。
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還暦目前のあるとき、LGBTのパレードに参加したことがきっかけで、自分もそうだと気づいたのです。64歳で「性同一性障害」と診断され、67歳から「女性」として第二の人生を歩み始めたばかり。
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そんな中、小嶋さんは新たな挑戦として、住んでいる愛知県春日井市の市議会議員になろうと決意。社民党公認で出馬します。

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(小嶋小百合さん)「少数派といわれているLGBTQももちろん、障害者・高齢者・病気の人・ひとり親家庭、そういう人たちが生き生きと暮らせる、そういう街にしたい」
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小嶋さんは、自分のような人が身近にいることをまず知ってもらおうと、街頭活動で訴え始めました。しかし、インターネット上で、誹謗中傷を受けたこともあります。
(小嶋小百合さん)「60年も男として生きてきて『今さら女になったからといって、女の代表として議会に出ていくのは許せん』と言われたこともある」
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それでも小嶋さんは、偏見や差別で生きづらい社会をなくそうと訴え続けました。後援会はなく、彼女の頑張る姿をいつも間近に見ている、パソコン教室の生徒や友人たちが中心となって小嶋さんの選挙活動を支えます。何もかもが初めての選挙活動で、戸惑うこともあるといいます。

(小嶋さんの友人)「まだまだ私たち性的少数者が理解されていないことが多いので、ここで頑張ってもらって世の中に広めてほしい」
友人たちは、声を上げづらい「少数派」の力になる存在になってほしい、という思いで選挙活動を手伝っていました。
(小嶋小百合さん)「人それぞれの立場を尊重して、いろんな考え方の人がいるから、自分と違う考え方の人も尊重して、仲良くやっていける社会になれたらいい」

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選挙戦の合間に、パソコン教室では小嶋さんがギターを練習していました。街頭で選挙ライブをしようと、学生以来45年ぶりにギターを購入したのです。(小嶋小百合さん)「(選挙は)つまらないじゃないですか。だから選挙もお祭りみたいに、みんなでワイワイできればいいかなと」“選挙=堅苦しい”というイメージを払拭したい、有権者に少しでも興味を持ってもらいたいという思いがありました。
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2021年に声帯を手術し、高い声になるようボイストレーニングを続けていますが、あまり大きな声は出せません。街頭演説がメインの選挙戦では不利な状況ですが、音楽にのせて自分の主張を伝えます。
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歌は、知人のシンガーソングライターが作詞作曲したもの。「誰もが生きやすい社会を作ろう」というメッセージを込めています。こうして、7日間の選挙戦を走り抜けました。迎えた投開票日、小嶋さんは友人らと開票速報を見守ります。しかし、日付をまわってもなかなか出ない結果にやきもき。そして、ようやく午前1時すぎ。
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1700票を獲得して、定数32に対し29番目で当選を果たしました。
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(小嶋小百合さん)「できれば全国から『春日井に住めば、人生楽しく過ごせるよ』と来てくれるような春日井市にしたい」女性として歩み始めたばかりの第二の人生。次は政治家として、多様性を認め合う社会のために一歩を踏み出します。
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CBCテレビ「チャント!」2023年4月24日放送より