国際的ピアニストの“遺愛ピアノ”が奈良・生駒市でお披露目 一般開放で「はばたきピアノ」として活用

国際的ピアニストで、2021年10月に病気のため63歳で亡くなった韓伽(ハン・カヤ)さん遺愛のピアノが14日、奈良県生駒市の生駒市北コミュニティセンターISTAはばたきでお披露目された。
韓さんは1988年の第44回ジュネーブ国際音楽コンクールで3位入賞。その後、ソロや室内楽奏者として欧州やカナダ、東アジアなど世界各地で演奏活動を展開し、99年からドイツ国立カールスルーエ音楽大学教授として後進の育成にも尽力した。今回、韓さんの遺族から、奈良・生駒市の自宅にあったピアノが寄贈され、同市の生涯学習施設指定管理者が「はばたきピアノ」として、月に2回、誰でも利用できるピアノとして同所で開放することを決定した。プロデューサーの木山幹雄さんは「月に2回、午前10時から午後4時まで開放します。1人15分程度で次の方に譲ってもらい、皆さんで楽しんでいただきたい」と語った。
この日、ゲストとしてピアノを披露した同志社女子大2年の大月春乃さんは「韓先生に小学生の時に教わったことがあり、成長した姿を見せられたかなと思います。先生を感じられる、あたたかいピアノでした」とほほ笑んだ。第24回ショパン国際ピアノコンクールinASIAの全国大会に出場し、金賞を受賞した生駒市内在住の小学4年生・上田茉奈さんは「鍵盤がとても軽くて、たくさんの人が何回も弾いていたのかなと思いました。とても弾きやすかったです」と笑顔を見せた。

ストリートピアノは、ユーチューブなどの撮影による長時間の独占や、利用時間外に弾く騒音などで撤去されることが報じられたりもしている。同館には図書館やセミナー室を併設。音漏れなども細かくチェックし、ピアノ利用時間は閉室するという。この日はお披露目会後に一般にも開放。ピアノを弾いた生駒市内の主婦は「最初の音から優しい音だなと感じました」と夢中になっていた。多くの人がピアノに触れる姿を見ながら、木山さんは「巡回はしますが、皆さんの良心を信じています」と、音楽のあふれる街づくりを目指している。
「はばたきピアノ」の利用日程は、同所のホームページで随時発表される。