見た目が悪いだけで売り物にならなかったフルーツなどを活かし、スイーツ作りに取り組んでいるパティシエが愛知県田原市にいます。地元の食材へのこだわりについて取材しました。 カラフルなアイスケーキ「カッサータ」に、菜の花を使ったクランチチョコ。これらは全て、田原市で採れた食材を使ったスイーツです。
手掛けているのは田原市にある『パティスリーフェッテ』。実店舗はなく厨房のみで、卸売りと通販を専門に行っています。
いま特に人気なのが「テリーヌ」です。田原産のイチゴを砂糖と煮詰めてジャムにし、クリームチーズや田原産の卵などと混ぜ合わせ、同じく田原の小麦粉で作ったタルト生地が入った型に流し込んで焼き上げます。
甘酸っぱいイチゴや酸味が効いたミカンなど、5つの味をセットで販売。どれも滑らかな口どけで、フルーツの香りと味が活かされているのが特徴です。
パティシエで田原市出身の藤井秀和さん(31)に、地元の食材にこだわった理由を聞きました。パティスリーフェッテの藤井秀和さん:「僕の周りはみんな農家で、見た目が悪いから出荷できないものが本当にいっぱいあって。すごく美味しいものなのに市場に出せないものを、いかに美味しく出せるか」
小さいころから、形や色が悪いだけで廃棄される農産物を多く目の当たりにしてきた藤井さん。食品ロスが減り、農家の助けになればと、売り物にならなかった食材を活かしたスイーツ作りを思いつきました。 食材を乾燥させて使う工夫もしています。栄養士の資格を持つ母・恵美子さんが担当するこの工程、乾燥させることで日持ちするようになり、食材を無駄なく使えるように。
食材によって切る厚さを変えたり、気候に合わせ乾燥させる温度を調節したりすることで、美味しさはもちろん色も保つことができるといいます。
パティスリーフェッテの藤井秀和さん:「田原は農業生産量も全国でもトップクラスだけど、田原を知っている方って意外と少なくて。食べた時に、ここってこういう食材があるんだなって思ってもらえるといいかなと」