交通事故の捜査で実況見分調書を偽造したとして、虚偽有印公文書作成・同行使などの罪に問われた元習志野署の巡査部長、石井貴大被告(30)=千葉市中央区=の判決公判が23日、千葉地裁であり、福家康史裁判長は「国民の信頼を失墜させる行為。刑事責任は重い」として懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。
判決によると、2018年3月8日に松戸市内で発生したトラックと自転車の人身事故を巡り、当時松戸署交通課員だった被告は同年10月、衝突地点などが虚偽の実況見分調書を作成し提出。さらに、21年1月にあった運転手の公判でも虚偽の証言をした。
弁護側は「当時多数の未処理事件を抱え忙しかった。悪質性はない」などと刑を軽くするよう求めたが、福家裁判長は「刑事手続きの適正さを害し、事実認定を誤らせる恐れがある悪質な行為。動機も短絡的で身勝手」と非難。虚偽の実況見分調書が一度裁判で証拠採用され、再度証人尋問が必要になったことなどから「訴訟進行を混乱させ、著しく遅滞させた」と指摘した。一方、停職3カ月の懲戒処分を受けていることなどを踏まえ猶予刑とした。
被告は処分後に依願退職した。