2023年5月23日、鉄道の安全対策や整備の強化などを推進している日本民営鉄道協会が、ウェブサイトを更新。
日本全国にある大手民鉄16社の報告を参考に、2022年度に発生した鉄道係員に対する暴力行為の件数や発生状況を発表しました。
本来であれば、一方的に他人に暴力をふるうのは、あってはならないこと。しかし同団体によると、駅員への暴力行為は、2022年度だけで計138件も報告されているといいま
2022年度に起こった暴力行為は、前年度と比べて12件増加。新型コロナウイルス感染症流行以前の水準に近付く結果となりました。
暴力行為が発生する状況は、酩酊した客を介助する際だけでなく、特に理由もなく突然暴力を振るわれるケースも少なくないのだとか。
暴力行為が発生しやすい時間帯は、主に22時以降の深夜帯。加害者は飲酒している場合が多いものの、年齢は幅広いといいます。
同団体は、実際に報告された事例を4つ紹介しました。
【時間帯:朝(始発~9時)】【場所:改札】【客の年齢:50代】【飲酒:あり】
旅客より自動改札機に投入した乗車券が出てこないと駅係員に申告があり、駅係員が確認したところ別収箱に回収されていたため、「申し訳ございません」と謝罪した。
駅係員は乗車券を返却し、再度自動改札機を通るよう案内した際、旅客に腹を拳で殴られた。「暴力を振るわないでください」と注意したところ、急に激昂し左前額部を拳で殴られた。
【時間帯:朝(始発~9時)】【場所:ホーム】【客の年齢:不明】【飲酒:なし】
列車が終着駅に到着し、車掌が車内にいた外国人旅客の対応を行った。対応が終了し、折り返しの為ホームを歩いていた際、再度同じ外国人旅客より話しかけられたが、発車時刻が迫っていたため駅係員へ引継ぎをした。
乗務員室に向かうため、外国人旅客へ背を向けた際にスーツケースを投げつけられた。
【時間帯:夜(17時~22時)】【場所:車内】【客の年齢:40代】【飲酒:あり】
旅客が停車中の列車に乗車した際に車内のドアコックを操作したため、駅係員は事情を確認するため旅客にお声がけした。
旅客が車内を徘徊し、ほかのお客様に危害を及ぼす恐れがあることから、駅係員は加害者を抑止しようとした際、左胸を拳で強打され負傷した。
【時間帯:深夜(22時~終電)】【場所:車内】【客の年齢:50代】【飲酒:あり】
列車の終着駅で旅客が車内で寝ていたため、ガードマンが起こしていた。駅係員が加わり声掛けをしたところ、旅客が立ち上がり歩き始めた。
付き添って歩いていたところ、突然旅客が駅係員のみぞおちを殴り、さらに顔面を殴ってきた際に拳が駅係員の鼻をかすめ、眼鏡が落下し傷付いた。
報告された事例の一部ではありますが、上記の被害はどれも理不尽なものばかり。
いうまでもなく、駅員が他人から暴力をふるわれるいわれはありません。きっと多くの駅員が、心身ともに傷付いてきたことでしょう。
同団体の発表に対し、ネットからは強い怒りの声が上がっています。
・どの事例も酷すぎる…。たとえ酔っていても、何をやってもいいわけはない。
・言葉もない…。お店みたく、たちの悪い客は出禁にできればいいのに…。
・どうすれば、こういった理不尽な暴力から駅員を守れるのだろう?周囲の客も怖いよね。
今回の結果を受け、日本民営鉄道協会は「犯罪である暴力行為をなくし、安全で快適な鉄道を維持するため、引き続き啓発ポスターの掲出などの取り組みを実施します」とコメント。
昨今、駅で『酔っていでも暴力はふるってはいけません』といった警告のポスターを目にする機会が増えました。これも、駅員を守るための取り組みなのでしょう。
人々の生活を支えている駅員が、安心して業務に取り組むことができる環境になることを、多くの人が祈っています。
[文・構成/grape編集部]