名古屋の天才映画監督は11歳 小学校6年で映画祭“史上最年少”入賞 『呪怨』清水崇監督も衝撃受けた 今井環くんの相棒はボロボロのiPad 【チャント!特集】

今年1月に行われた学生向けの映画祭に史上最年少で小学生が入賞した。今井環(めぐる)くん11歳。名古屋市中川区に住む小学6年生だ。ホラー映画『呪怨』を手がけた清水崇監督も作品を見て「衝撃を受けた」と話す。
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「ピンポーン」(ロボット声)「CBCテレビの皆様。どうぞ中へお入りください」 インターホンから聞こえてきたのはロボットの声…。案内された通りに中へ入る。すると音楽やステージライト、スモークの演出の中、環くんが現れた。私たちを出迎えるための演出を2日前から考えていたという。
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Q.この箱の中は?(環くん)「銃とナイフです。戦闘モノの撮影で使います」自宅には撮影用の小道具がずらり。さらに引き出しの中からは…(環くん)「映画を始めた時から使っているiPadです。撮影するだけでこんなに曲がった。それだけやっています」
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環くんの映画制作を支えるiPad。画面が割れ、本体が曲がってしまうほど使いこんでいる。3年前、コロナ禍の休校で退屈そうにしている環君を見た両親が渡したもので、これ1台で撮影から編集まで全部こなすという。
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(環くん)「かっこいいエフェクトが色々あって映像を編集する時が結構楽しい」
これまで環くんが作った映画は6本。YouTubeを見て独学で学んだ。環監督の助手を務めるのはいつも母親だ。
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(母親)「よくADみたいに手伝わせていただいております…」
用意したのは、大量の氷と水槽。それにスモーク…。
(環くん)「編集で自分の手だけカットして、氷が自分から落ちていく感じにします」
環君の編集はとにかく早い。指先をすいすい動かして効果音やCGを付け足していく。
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映像制作に目を輝かせる環くんに、両親は学生を対象とした映画祭への出品を進め、ことし1月、史上最年少11歳でフェローズフィルムフェスティバルで審査員特別賞を受賞したのだ。
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4分の短編ホラー映画『ウツル』。心霊スポットでライブ配信をしたユーチューバーの女性の身の周りに次々と異変が起きるストーリーだ。制作費は0円。主演を務めたのは母親のママ友だ。
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(環くん)「編集も時間がぐちゃぐちゃにならないように結構こだわりました」
『呪怨』など数多くのホラー映画を手がけてきた巨匠・清水崇監督も「衝撃だった」と作品を振り返る。
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(清水崇監督)「物語の構成が観る人を飽きさせない。こんな11歳が出てきちゃうと僕らプロフェッショナルとして今後を考えていかないといけない…」
映像作家の環君、テレビの取材を受けるのは今回が初めてだというが、取材を受けるよりも、撮影機材が気になる様子。
(環くん)「このカメラめっちゃ高そう」
(カメラマン)「何百万ぐらいだと思う?」
(環くん)「200万円ぐらい?」
(カメラマン)「200万だとレンズも買えないよ」
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そして、ついには…!
(環くん)「遠くから取っても面白いかも。障害物(ソファ)と自分を映しながら…ちょっとシネマティックな感じのやつになると思います」
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カメラマンに撮影ポイントを指示。さすがカントク…!好きなことに、打ち込む環くんですが、両親としてはそこがちょっと心配になるほど。(母親)「頭の中が宝箱状態。『1日が終わるから寝たくない』と言われたこともあり、寝るギリギリまで自分の世界で作業をするから、ストレスにならないのかな…」
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午前7時半、環くんの朝は両親と囲む食事から始まる。黙々とパンを食べているが、その視線は…iPadに。(環くん)「毎朝、1日1本ドラマを見ています。きょうはTBSのドラマです」
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ドラマ鑑賞はモーニングルーティーン。朝見たドラマの考察を日中に考えるのが楽しいという。自宅から学校までは歩いて10分ほど。通学路は作品のアイデアで溢れている。看板が目に入ると…(環くん)「あの看板とかも古い感じがホラー映画に使えると思っています」
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信号機も…通り過ぎる車も…全てが創作意欲をかきたてる「源」だ。気になるのは学校生活。教室を覗いてみると…算数の授業中、どこか上の空。
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Q.何を考えているの?(環くん)「黒板に(文字を)書くときは映画の中で物語がどんどん進んでいく感じがして、(文字が)消えていくときが主人公とかの心情が暗くなったりとか、物語が終わる時とかにも使えそう」
授業や給食の時間は思考の“ゴールデンタイム”だという。掃除の時間。この日の担当は音楽室。ホウキで黙々と床を掃いていましたが…気づけばその手はメトロノームに。
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(環くん)「音と動きで時間を表せるし、メトロノームは活用していきたいです。今度の映画でも使いたい」
視界に入るもの全てが映画作りのヒント。クラスメイトも一目置いている。
(クラスメイト)「天才!尊敬の的です」「言い過ぎかもしれないですけど、“神の子”ですかね」「優しい。他の男子とは比べものにならない」
キラリと光るその才能に、先生も時々、驚かされるという。 (担任)「国語の記述でも色々なことを書いてきたりして、こんな言葉を知っているのだなとか感じ方が独特な感じがします」 ちなみに学校の成績は真ん中ぐらいだそう。
そんな環くんの映画づくりの原動力は…。
(環くん)「人を喜ばせることが好きなので、喜ばせるために映像を作っています」
幼い頃は大道芸人やマジシャンに憧れていたという環くん。”人に喜んでもらいたい”その一心で今は映画制作に打ち込んでいる。
(環くん)「1つのジャンルだけじゃなくて色んな映像を撮りたくて。色んなことのできる監督になりたいです」
今井環監督。11歳。今は、自筆のサインも研究中だ。映画館の大きなスクリーンで彼の作品を目にする日は、そう遠くないかもしれない。
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両親に子育てについて聞いてみたところ、「環君が夢中になっていることに対して同じ目線で全力で楽しむこと」を心がけているという。夢は「ジャンルにとらわれない映画監督」ということだが、ぜひテレビの世界にも興味を持ってもらえたら…。
取材:CBCテレビ報道部 栁瀬 晴貴(26)福岡県出身 2019年CBCテレビに入社し、報道部で記者5年目。愛知県警担当や遊軍の記者として不正車検の実態やドン横キッズ問題などを追う。YouTubeドキュメンタリーチャンネル不定期配信「トゥレット症の“リアル”」更新中。