ウクライナから避難して1年 不安続く中…“自立の歩み”進める夫婦【新潟・小千谷市】

ロシアが攻め入るウクライナから新潟県小千谷市に避難してきた夫婦。来日して5月28日で1年が経ちました。夫のサリフさんは正規雇用で働き始め、妻のイリナさんはふるさとへのチャリティ活動を続けています。

2人が小千谷市に避難して1年が経った28日、サプライズの花束が支援者から贈られ、節目の時を共有しました。

イリナ・シェフチェンコさんと夫でガーナ国籍のムタル・サリフさんが日本に降り立ったのは去年5月28日。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナから「おぢや避難民支援の会」のサポートを受け、小千谷市に避難してきました。

【夫・サリフさん】
「ウクライナから来ました。生まれはガーナです。医者です」

【妻・イリナさん】
「小千谷と寿司が好きです。よろしく」

2人は小千谷市が用意した公営住宅で新たな生活をスタート。

日本での生活に慣れようと、平仮名やカタカナから日本語を学びはじめたほか、小千谷市の伝統文化・牛の角突きにも親しみ、平和の大切さを訴える講演活動にも県内各地で取り組んできました。

【夫・サリフさん】
「夫婦2人の生活費やガーナの家族への仕送りが必要」

また、サリフさんは去年秋、自立した生活に向けて、小千谷市の養鯉場でアルバイトに汗を流し、仕事がなくなった冬には除雪のアルバイトもしました。

そして5月、サリフさんの姿は小千谷市の工場にありました。

サリフさんは5月から工作機械部品のメーカーで、フルタイムの正社員として働き始めたのです。

【エヌ・エス・エス 関口弘一 工場長】
「今年の春、社内のお花見があった。そのときに招待したら意気投合して、『じゃあうちで働く?』という話から、本当に働くことになった」

小千谷市に来て1年。サリフさんは生活の安定に向け、正規雇用をつかみとりました。

【夫・サリフさん】
「ここでも同様に、私は素晴らしい時間を上司や同僚と過ごすことができる。私はとても幸せを感じている」

【エヌ・エス・エス 関口弘一 工場長】
「私たちができる範囲で、できる限りのサポートをしながら、自立した生活が不安なく送れるように願っている」

一方、イリナさんは戦争孤児を受け入れているウクライナの小児病院に義援金を贈る活動を続けています。

「チームイリナ」を支援者と立ち上げ、手芸作品などを売るチャリティバザーを2月に開催。市内の店舗でも作品を置いてもらい、引き続き、善意を募っています。

【角幸 中林美紀 社長】
「ウクライナの子どもたちに応援ができるというので、より喜んでご購入いただく方が増えている」

【妻・イリナさん】
「本当に心から感謝している」

ただ軍事侵攻に終わりは見えず、家族5人をウクライナに残すイリナさんの心配は消えることはありません。

【妻・イリナさん】
「軍事侵攻の初日から今まで何も変わっていない。あす何が起こるか誰も分からない。心配は続いていて、戦争が早く終わることを願っている」

避難から1年。初めての日本での生活を手を取り合って確かなものにしてきた2人に、長引く紛争は暗い影を落としています。