里親の家を逃げ出した保護犬 27日間かけてたどり着いた場所は…「悲しいね」

やむを得ない事情で飼っているペットを手放さなければならないことは起こり得ます。
しかし、ペットは、なぜ飼い主が自分を捨てたのかを理解するのは難しいでしょう。
2023年4月1日、イギリスの北アイルランドで、ラブラドールレトリバーのクーパーくんが行方不明になりました。
クーパーくんは元の飼い主が手放した犬で、この日保護施設から新しい里親のナイジェルさんに引き取られたばかりでした。
新しい環境では非常に憶病になるというクーパーくんは、ナイジェルさんの家に着いたとたん、どこかへ走って行ってしまったのです。
ナイジェルさんは迷子のペットを探す団体『ロストポウズ・北アイルランド』に助けを求め、大がかりな捜索が始まりました。
まず近隣の地域にいくつもの給餌ステーションを設置。SNSで情報提供を募り、ポスターやチラシを作り、周辺の家を1軒ずつ訪ねてまわりました。
すると数軒の農家からクーパーくんの目撃情報がありましたが、居場所を特定するまでには至らず。
その後、別の地域でクーパーくんに関する情報が寄せられたものの、見つけることができないまま、数週間が経過しました。
しかし同月27日、ついに事態が動きます。ポスターを見たという人から『ロストポウズ・北アイルランド』に「クーパーくんを見かけた」という電話がかかってきたのです。
その日のうちに、クーパーくんは無事に保護されました!
見つかったのは、クーパーくんの元飼い主が住む地域の近くだったそうです。
ナイジェルさんの家から元飼い主の家までは直線距離で、約40㎞も離れているのだとか。
クーパーくんは27日間にわたって、幹線道路や森、野原や田舎道を横断し、まったく知らない地域から前の飼い主のところへ帰ろうとしたと思われます。
『ロストポウズ・北アイルランド』のFacebookの投稿には、クーパーくんが見つかったことを喜ぶ声とともに、「『家』に帰ろうとしたなんて悲しいね」「新しい里親さんと幸せになってほしい」という声が上がっています。
元の飼い主がなぜクーパーくんを手放したのかは分かりません。
ただ、クーパーくんが命がけで前に住んでいた家に帰ろうとしたと思うと、胸が張り裂けそうになりますね。
忠誠心の強い犬は、一緒に暮らした飼い主への愛情を決して忘れることはないのでしょう。
ナイジェルさんはクーパーくんが無事に見つかったことを喜び、その後も大切に世話をしているそうです。
傷付いたクーパーくんの心が、ナイジェルさんの愛情によって癒されていくといいですね。
[文・構成/grape編集部]