回転寿司チェーン大手「スシロー」を展開する株式会社あきんどスシローは5月29日、メディア向け商品戦略説明会を開催。5月31日以降、最安値の寿司「黄皿」をより充実させ、新たな価格設定の「黒皿」なども導入すると発表した。
飲食業界の価格高騰が騒がれるなか、手頃な価格帯の商品を拡充させることでユーザーの増加を目指す。
○▼「迷惑動画」被害に遭うも、ユーザーの愛情に「感謝の気持ちでいっぱいになった」
スシローをはじめとした回転寿司チェーンを巡っては、近年の物価上昇の影響に加え、SNSなどを中心に「迷惑動画」が相次いで出回るなど、威力業務妨害による被害にも悩まされていた。
あきんどスシローの新居耕平代表取締役社長はこの日の説明会に登壇し、迷惑動画による被害について、「外食業界全体が非常に大きな影響受けたが、『スシローを救いたい』という言葉を起点に、多くのお客様から応援のメッセージいただき、多くのお客様にご来店いただいた」と振り返った。
騒動以降、スシローは寿司の提供方法を変更したり、アクリル板を設置するなどの対応に追われたが、その結果として「以前よりも安心してお楽しみいただける店舗空間が作れた」と主張。そのうえで、「お客様の愛情や暖かさに触れ、涙が出るほど感謝の気持ちでいっぱいになった。改めて感謝を伝えさせてほしい」と謝意を述べた。
○▼「黄皿」の拡充に「黒皿」の新導入、価格変動する「白皿」も初登場!
新居社長によると、スシローは「お客様の声をカタチに」を合言葉にした取り組みを継続的に実施。最近では公式サイトやアプリを通し、店舗ごとの品切れ情報が閲覧できるサービスなどの展開も始めた。また、「もっといろんな種類のネタを食べたい」という要望に応え、しゃりのみをサイズダウンさせた「ミニしゃり」や、小さめサイズの「ミニパフェ」をデザートとして用意。いずれも好評を博しているという。
さらにスシローは、5月31日からまた新しい取り組みをスタートさせる。具体的には、最もお手頃な価格の「黄皿」(郊外型店舗で120円)の充実化と、新たな価格設定の「黒皿」(郊外型店舗で260円)の導入、そしてネタによって価格を変動させる「白皿」の導入である。
新居社長は、「やはり黄皿が一番注文率も高く、これを充実化することでより満足いただけるようにしたい。また、お客様から好評だったネタの再販、復活もしていきたい」と話し、まずは新たに6種類の黄皿を追加すると明かした。
また、黒皿についても、「厳選したネタや店内調理にこだわった寿司を食べていただくために、新たに黒皿を投入することにした。今までは360円という価格設定で、なかなか手が出しづらいという声もあった。少しでもお客様に手が届きやすい価格帯で販売できればと思い、新価格でご用意した」と狙いを説明した。
黒皿には「匠の海鮮巻き重ね」や「匠の胡麻タレ漬け真鯛ととろたく」など、富山県の一流寿司職人監修のもと開発した新商品も投入する予定だという。商品の内容の見直しを計ったため、単純な値下げではなく、あくまで“リニューアル”という位置づけだ。
値段を固定しない「白皿」は、スシローブランドとしては初の取り組みとなる。5月31日からは「カニ爪食べ比べ」と「活〆穴子食べ比べ(天ぷら・焼き)」が期間限定で登場。こちらは郊外型店舗で360円という価格設定だが、今後は黄皿よりもさらにお手軽価格の寿司や、より高価で希少なネタを使った寿司を提供していく可能性もあるという。
○▼新パートナーの鶴瓶氏「私にしかできないやり方で一所懸命やらせてもらう」
商品戦略説明会では、スシローが新たにパートナーとして迎え入れた大御所芸能人として、タレントの笑福亭鶴瓶氏のビデオメッセージが公開された。グルメとして知られる鶴瓶氏だが、寿司は特に好物で「2日でも3日でも続けて食べられる」と豪語する。
しかし、まだ一度もスシローを訪れたことはないそうで、「(スシローの魅力を)日本中に伝えてほしいということだが、私にしかできないやり方で一所懸命考えてやらせてもらう」「(スシローって)本当に美味しいんですかね? 絶対に美味いとは思うけど、私は正直にしか言えないので、楽しみにしておいてください」と訴えた。
鶴瓶氏のメッセージを受け、新居社長は「正直に紹介していきたいということなので、鶴瓶さんに『スシローって美味しいな。ええな』と言ってもらえるよう気を引き締めて取り組んでいきたい」と意気込んだ。
猿川佑 さるかわゆう この著者の記事一覧はこちら