核兵器廃絶を訴えて全国を歩くイベント「原水爆禁止国民平和大行進」で、少なくとも約20年後援を続けてきた佐倉市が今年後援を見送っていたことが14日、分かった。昨夏、西田三十五市長が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)施設での集会に選挙応援のため出席したことが批判されたこともあり、市は外部イベントの後援審査をより慎重に実施する運用に変更。その結果、市側は同イベントのチラシ内容が「政治的中立性を損なうおそれがある」と判断したという。一方、主催者側は「反社会的な活動と私たちの活動が同一視されているようで納得がいかない」と反発している。
イベントは1958年にスタートし、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)などでつくる実行委員会が主催。佐倉市内では15日、例年通りに市役所庁舎前で出発式を実施するが、市関係者は参加を見送る予定だ。
主催者側の関係者は後援申請書を6月6日付で市に提出。同23日付で文書で不承諾との回答があった。市は理由説明で、提出されたチラシなどに「政権批判と言わざるを得ないコメントが散見される」と指摘。市が後援等の取り扱い要項で不承諾理由に定める「中立性を損なうおそれのある」イベントと判断したという。
チラシには「なくそう核兵器」とともに「ストップ!大増税」「9条改憲NO!」との文言が並ぶ。同関係者は現政権に批判的な立場は認めつつ、税制や憲法の問題は核廃絶を目指す動きと地続きと主張。「平和条例を掲げる市として見送りは不適切」とも訴えた。
市と外部イベントとの関わりでは、昨夏に西田市長が参院選候補者(その後当選)の応援演説で市内の教会施設を「公務」で訪れたことを機に、宗教・政治的中立性が問われることに。市民や一部市議の“突き上げ”もあり、市は本年度から審査過程で提出書類以外の確認も徹底するなどイベント内容をより精査する対応に改めたという。
市担当者は「平和活動への思いには理解を示すが、(政権批判的な)チラシの内容では中立性が損なわれてしまう」と話している。
同イベントは翌16日に隣接の四街道市で実施。同市では後援を決定している。