陸上自衛隊では90式戦車と10式戦車、2種類の主力戦車を運用しています。これら戦車を公道で運転するには、どのような資格が必要なのでしょうか。
2023年現在、陸上自衛隊では74式戦車、90式戦車、10式戦車、3種類の主力戦車を運用しています。こうした車両は訓練の関係などで、駐屯地から出て公道を走るケースもあります。そのため、戦車にはブレーキランプやウインカーも取り付けられています。
「戦車に乗りたい!」どうやったら乗れる? 必要な“資格”は2…の画像はこちら >>訓練中の90式戦車(画像:アメリカ陸軍)。
公道で運転するということは当然免許が必要になるわけですが、見た目からして特殊すぎる戦車を公道で運転するには、どのような資格が必要なのでしょうか。
まず必要なのが、普通免許に加え、大型特殊の免許です。「大型特殊免許(カタピラ限定)」という限定免許でも戦車を運転することができます。
さらに、自衛隊の車両を運転するには、道路交通法上で定められた免許のほかに、「MOS(モス:Military Occupational Specialty)」という陸上自衛隊内だけで定められた資格が必要になります。 そのため、大型特殊免許を得たとしても戦車に乗れるわけではなく、まず陸上自衛官になり、機甲科(戦車部隊)に配属されMOSを取得してようやく運転という段階を踏まなければいけません。
なお、イギリスなどでは戦車の個人所有が認められており、一般の人が気軽に武装を解除した軍用車両をネット販売などで普通に購入しできます。しかし、日本ではNPO法人防衛技術博物館を創る会が九五式軽戦車をイギリスから購入したケースはありますが、個人で所有することは、手続きや維持管理の問題でほぼ不可能です。そのため、日本で戦車を公道で運転するには、前出の通り自衛隊に入り、なおかつ機甲科に入る必要があります。
ちなみに、見た目だけは戦車に見える車両を自作した人も何人か日本国内にはいますが、公道は走らず、イベント会場などまでトレーラーに乗せて運ぶようです。ただ、装甲車であれば、個人輸入して自家用車として使用できるケースはあるようで、イギリス軍の装甲車「フェレット」を自家用車にした人もいます。