「すごくスキルが高かった」 避難所の運営支援に水道工事 被災地での名古屋市の支援に密着 南海トラフ地震への備えにも【大石が聞く】

物事の核心に迫る「大石が聞く」。今回は能登半島地震の被災地・石川県七尾市で続いている、名古屋市の支援についてお伝えします。避難所の運営・断水の復旧など、これがもし名古屋で起きたら、どうなってしまうのでしょうか。
2月3日に取材に訪れたのは、被災地石川県七尾市の避難所。地震防災の専門家、名古屋大学の福和伸夫名誉教授にも同行してもらいました。
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(大石アンカーマン)「どんな支援をしていらっしゃるんですか」(名古屋市 曽根 康信さん)「避難者の名簿の管理ですとか、物品の輸送や仕分け。運営側が自主運営をしているのでそのあらゆるサポート」
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今回の震災では被災自治体と支援自治体をパートナー関係で結ぶ「対口支援」が行われていて、名古屋市は七尾市の担当。避難所の運営などを行っています。約80人が避難しているここには、5人の名古屋市職員が交代で常駐しています。
(大石アンカーマン)「中は段ボールで完全に仕切られていて、プライバシーが保たれているような空間になっている。避難所は以前と比べて進化していますか?」(名古屋大学 福和伸夫 名誉教授)「ずいぶん進化している。段ボールが下にあることで空気の層ができるので、寒さがしのげる」
入口に置かれてあるこの靴箱も…(名古屋市 大橋 加奈さん)「土足禁止で避難所を作りたいということだったので、靴箱を作って整理をして。衛生環境を守るような形で、名古屋市の職員と避難者が一生懸命(作った)」
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(名古屋大学 福和伸夫 名誉教授)土足から上履きに変わるということで、圧倒的に衛生的になる。もっとすごいのが、安否の確認ができるようになる。誰々の靴があるか分かるのはアイデア」
避難所運営の責任者は、名古屋市の支援についてこう話します。(避難所運営の統括責任者 飯田 伸一さん)「(名古屋市は)南海トラフに備えて、どういう対応をして避難所を作って運営すればいいか実践的にやっている。危機管理室や防災室を作ったり、すごくスキルが高かった」
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(名古屋大学 福和伸夫 名誉教授)「一方で名古屋市は、これでいっぱい勉強させていただける。逆にここで勉強したことによって次がしのげる。名古屋にはずっと災害が来ていないので練習不足」
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(名古屋市の担当者)「地域のつながりが元から形成されていたから、ここまでうまく運営がされていると思う。大都市ほどつながりが薄いので、何かしらの対策が必要」
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(避難所運営の統括責任者 飯田 伸一さん)「たまたまここに来てくれたのが名古屋市チームで、われわれ名古屋チームで良かったなと」
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(名古屋大学 福和伸夫 名誉教授)「末永く仲良くしていただけると」(大石アンカーマン)「名古屋でまたこういった震災があるかもしれませんから」(統括責任者 飯田 伸一さん)「すぐ応援に駆け付けます」
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七尾市では2月28日時点で、19の避難所に約650人が避難生活を続けていて、今後も様々な支援が必要です。
3/1で発災から2か月となった能登半島地震。各地で大きな被害となったのが水道です。七尾市では、一時市内全域が断水。2か月が経ち、約80パーセントの世帯で水道が復旧しましたが、未だ断水の地域もあります。
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こうした中、水道の復旧も名古屋市の支援業務の一つ。ドローンを飛ばして、修復が必要な漏水箇所を探します。(名古屋市上下水道局 髙倉俊夫さん)「この辺にちょっと筋みたいな水の跡がある。多分この上から漏れているんですが、このくらいだったら修理せずに、しばらく様子見でいける」
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能登では、住宅だけで無く水道管の耐震化も遅れていたため、被害の拡大につながりました。改めて備えの大切さを印象付ける形となっています。(名古屋市上下水道局 山口 泰さん)「水は必要不可欠なので、少しでも早く断水が解消できるように復旧作業を進めています
一方、市内の小学校に設置された避難所では…。
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(大石アンカーマン)「失礼します おー広いな~。机を置いてもまだ居住空間がある」名古屋工業大学の北川教授が開発した段ボールハウスが、ぎっしりと80個置かれてありました。
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(利用者の声)「仕切りができて安心。それまでは教室の中で仕切りなしで休んでいましたから」暖房に強力なストーブも使っているため、こうして火災に備えた避難訓練も行っています。
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名古屋市が避難所運営の支援をしていますが、主体となるのは地元の住民です。(大石アンカーマン)「今おいくつですか」(地元住民)「21歳。もともと避難者として友達と来ていて、なんか手伝えることがないかなと。若い世代が少ないので、ちょっとでも動いて助けられればと」
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(名古屋市 防災危機管理局 成瀨 聡志 室長)「今回の能登半島地震よりも(南海トラフ地震は)被害が甚大になる可能性が非常に大きい。今回特に断水が七尾市において非常に大きな影響があったので、ライフラインが止まることも踏まえて備えていく必要がある」
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この地方で心配なのは、近い将来発生が予想される南海トラフ地震。能登地震と同じ震度7や6強の揺れが広範囲にわたって襲うと考えられています。その備えは。
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(大石アンカーマン)「今回の支援で、来たる南海トラフへ向けての教訓、どんなものがあったんでしょうか」(大石アンカーマン)「こちらはどんな部屋になりますか」(名古屋市 防災危機管理局 成瀨 聡志 室長)「こちらは災害時に被害の状況などを集める部屋です」
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現地で支援を指揮していた災害対策室の成瀨室長はこんな懸念も。(大石アンカーマン)「名古屋市でもし能登半島地震のような地震が起きた場合に、名古屋市はどこまで耐えられる?」(名古屋市 防災危機管理局 成瀨 聡志 室長)「南海トラフ地震は能登半島地震に比べて、広範囲の被害が予想される。今回の石川県のように、支援が全国から集まるかというと期待できないところもある。備蓄としてはまず1週間か家庭内備蓄を用意して、そのうち3日間は持ち出せるように準備をしていただく」
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来たるその時に、どう備えるのか。改めて一人一人が考える事が求められています。2024年2月29日放送 CBCテレビ「チャント!」より