立憲民主党の代表選が告示された。
立候補を届け出たのは、野田佳彦元首相、枝野幸男前代表、泉健太代表、吉田晴美衆院議員の4人。
自民党派閥裏金事件でかつてないほど政治不信が高まる中、政権担当能力を示すことができるのか、野党第1党としての存在意義が問われる代表選びとなる。
当初、野田氏と枝野氏の一騎打ちになるかと思われたが、告示前日に泉氏が出馬にこぎ着け、当日になって吉田氏の立候補が決まった。
4氏は届け出後、共同記者会見や日本記者クラブの討論会に臨んだ。論戦の焦点となったのは政治改革と野党連携。
元首相から当選1回の議員まで、中道保守志向やリベラル系など立ち位置の違いはあるものの、「政権交代」を意識した発言が目立ったといえる。
裏金事件を受けて先の国会で成立した改正政治資金規正法は、検討課題を列挙した相変わらずの「ザル法」で政治不信を増幅させた。
立民は企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止を求めており、候補者からは「国会議員の世襲制限」「使途不明金の根絶」「領収書の全面公開」など、再改正を含めた訴えが続いた。
きっかけとなった裏金事件の実態も依然として謎のまま。
次期衆院選を見据え、「政治とカネ」問題に終止符を打つ対抗軸の明確化で、政治が変わるというアピールが必要だ。
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泉代表は、衆院選で現有の1・5倍となる150議席の獲得を目標に掲げてきた。
今のところ内定している候補者は約190人。現状では立民単独で政権を奪うことはできない。
野党連携について、野田氏は「議席最大化に向け、国民民主党の先の穏健保守まで」と説明。吉田氏は「一対一の構図をつくるため選挙協力は進めるべき」とした。
枝野氏は維新や共産とは政策面で乖離(かいり)があり「包括的な連携は難しい」と明言、泉氏は「国民民主との連立は想定している」と述べた。
現行の小選挙区制の下では、候補者を一本化しない限り、自民・公明の統一候補に勝つことは困難だ。
今が政権交代への最大のチャンスのはずだが、政権交代に向けた道筋はよく見えない。
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辺野古新基地建設を巡り立民は「工事を中止し、米国に再交渉を求める」ことを基本政策に掲げている。
討論会では交渉の余地についての言及があった。
立民など国政野党が超党派でつくる日本プログレッシブ議員連盟は、米民主党を中心とした議員らと議員外交を続けている。
政治改革や野党連携に注目が集まるが、個別の政策論議も活発に展開してもらいたい。
政権交代がなければ政治に競争原理が働かず、政治は活力を失い、よどんでいく。
立民にとっても正念場だ。