[考 南西「有事」]
ワシントンの防衛専門シンクタンク「戦略予算評価センター」(CSBA)がこのほど、米空軍のインド太平洋地域の航空体制の見直しを提言する報告書を発表した。軍事力を増強する中国に対峙(たいじ)するため、嘉手納基地の戦闘機部隊を半減する一方、高い監視、攻撃能力のある無人機「MQ9」の配備を提案。既存の滑走路以外でも運用可能な低価格の攻撃用ドローンも導入し周辺離島へ配備する案も提示した。ドローンは基地外からの発射も想定しており、識者は「(導入されれば)民間地域の危険性が高まる可能性がある」と懸念する。(政経部・大野亨恭)
関連記事「民間空域でのはみ出し飛行が日常化するのでは」 攻撃型ドローン、操作ミスで事故の恐れ ・・・[考南西「有事」] 防衛専門の米シンクタンク「戦略予算評価センター」(CSBA)が沖縄・嘉手納基地への導入を提言し・・・www.okinawatimes.co.jp 報告書は昨年11月に公表した。沖縄の基地を「中国と近接し最も脆弱(ぜいじゃく)な拠点の一つ」と評価。現在の空軍は攻撃を受けた際に生き残り、体制を再構築する能力が不十分とし、2030年までに米国防総省と米軍が検討すべき航空体制の見直し案を提示している。
「30年までに6機導入を」 「MQ9」は性能の向上により整備や操作の要員が少なく、機動性も非常に高いと評価。30年までに6機の導入を提言した。
また、太平洋地域に空軍、海兵隊などを統合した常設部隊の新設を提言。「MQ9」は空軍だけでなく海兵隊の海兵沿岸連隊(MLR)にも中国のミサイルやドローン攻撃の情報を提供するとした。日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)の必要性にも触れた。
攻撃用ドローン1500基も 嘉手納基地から約50機のF15戦闘機を退役させ、F22をローテーション(巡回)配備する現在の戦略は「紛争発生時の有効性を低下させる」と指摘。最新型のF15EX24機と、任務を支援する攻撃用ドローン計1500基を段階的に導入すべきだとした。戦闘機部隊が半減してもドローンとの連携で防御、攻撃態勢は有効と分析した。
さらに、嘉手納に常駐配備されている電子偵察機RC135S(通称コブラボール)やKC135R空中給油機などの大型航空機は戦争の際、沖縄で保護、維持するのが困難なためグアムなどへのローテーション配備に変更すべきだとした。
辺野古「有用性は限定的」 一方、名護市辺野古で建設中の米軍普天間飛行場の代替施設は「工費と工期が未定で米軍の作戦上の有用性は限定的。辺野古移設により反撃能力や防御態勢力をかなり逃すことになる」と消極的に評価した。
関連記事攻撃受けても反撃意図 我部政明氏(国際政治学者) | 沖縄タイムス+プラス プレミアム・・・ 実戦配備された中国の中距離ミサイルは2010年代後半、グアムを射程に入れた。米国は中国のミサイル能力向上に警戒し・・・www.okinawatimes.co.jp ことし1月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)では鹿屋基地へのMQ9配備や嘉手納弾薬庫地区の一部共同使用を確認し、共同文書に明記している。