[社説]少数与党下の国会 新たな「合意の政治」を

自民、公明の連立与党が大敗を喫した衆院選から2週間。「自民一強時代」の政治手法とは異なる新たな政策決定方式が形を現しつつある。
自民、国民民主両党は8日、政府の経済対策を巡る政策協議をスタートさせた。
国民は衆院選で、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の金額引き上げを公約に掲げ、議席を大幅に増やした。
「年収の壁」「ガソリン減税」「災害対策」などを重要項目と位置付け、自公との政策協議を通して実現を目指す考えだ。
自民としては、11日に召集される特別国会で石破茂首相の続投を確実にするためにも、また、与党少数下の国会で予算案や法案を成立させるためにも、新たなパートナーが必要だった。
自民、公明、国民の3党は今後、3党連立ではなく、政策ごとに連携する「部分連合」を形成する構え。
衆院の17ある常任委員長ポストの配分も決まった。 衆院選前は与党が15ポストを占めていた。与党の過半数割れを反映して自民が譲歩し、与党10、野党7の配分に。
立憲民主党は、予算案などを審議する予算委員長のほか、政治改革特別委員長や憲法審査会長などの重要ポストも手に入れた。
少数与党の時代は、土台がぐらぐらして不安定な時代でもあるが、そのような状況の中から、新しい政治が生まれるのだと信じたい。
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2012年から続いた「自民一強政治」の下で、行政府の権限が肥大化し、国会は、政府提出の法案や政策の追認機関になってしまった。
国会のチェック機能を強化し、活発な議論を通して与野党が合意形成を図っていく。そのような民意に根差した政治文化が根付くことを期待したい。
例えば、中途半端な内容で幕引きが図られた政治改革問題。立民、国民、日本維新の会、共産などの野党は、抜本的な政治改革の実現を主張している。
石破首相も選挙後、記者会見で、政策活動費廃止や調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開、政治資金を監査する第三者機関の設置について速やかに実現すると強調した。
与野党が調整し、早急に成案をまとめ、関係法の改正に取り組んでもらいたい。
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石破政権は「与党で過半数」という勝敗ラインを掲げ、衆院選に臨んだ。
目標が達成できず大敗したことから自民党の中には、選挙から2週間たった今も、辞任論がくすぶっている。
米国では、来年1月にトランプ政権が誕生する。バイデン政権の外交政策が覆され、自国第一主義の外交が打ち出される可能性が高い。
石破首相は、内憂外患をどのようにして切り抜けるのか。対応を誤り支持率が降下すると、来年の参院選前に交代論が浮上するかもしれない。