新人介護士をざわつかせた、ベテランの一言 「ハッとさせられた」「なるほど」

人間誰しも、老いからは逃げることができません。
歳をとるほど身体機能が衰えていくのは、有限の命を持つ生き物として、仕方のないことといえるでしょう。
いつか必ずやってくる老い。社会で生きる多くの高齢者をサポートするため、多くの介護士がプロフェッショナルとして活躍しているのです。
介護施設で働いている、ジッピー(@zippy_desu)さんがX(Twitter)に投稿したのは、自らの仕事にまつわるエピソード。
プロとして職に就いた介護士も、仕事を始めたばかりの頃は、先輩からさまざまなことを教わって成長していく必要があります。
ある日、新人の介護士が集まる中、教育担当者はこのように呼びかけました。
みなさん、初日のレポートを提出してください。
そのひと言を聞いて、新人たちはざわつきました。なぜならば、新人たちはレポートの提出が必要なことを、誰一人として知らなかったのです。
彼らは、あせりながらこう思ったことでしょう。「自分が聞き落としていたのかもしれない」「忘れてしまったら怒られるのかも」…と。
場がざわつく中、レポートの提出を求めた教育担当者は、このように告げました。
提出物なんてものは元からありません。今みなさんが感じたことが、認知症の方々の気持ちです。この気持ちを忘れないように。
※写真はイメージ
加齢によって発症する病気の代表格といえる、認知症。歳をとるほど発症率が上がっていき、65歳以上になると5~6人に1人が罹患するといわれています。
主な症状はその名の通り、認知機能の低下。ついさっき起こった出来事を忘れてしまうなど、物忘れが多くなってしまいます。
教育担当者が求めた、レポートの提出は真っ赤なウソでした。新人たちが忘れたわけではなく、一度たりともレポートの提出について告げられていなかったのです。
「覚えていない」という不安やあせりは、認知症の当事者が日々感じているもの。その気持ちを身をもって体感してもらうため、教育担当者はウソをついたのでしょう。
これから何度も向き合っていくであろう、認知症の人の気持ちを、新人たちに実感させた教育担当者。その対応に、ネットからは称賛の声が上がりました。
・ハッとさせられた。自分も理解しているつもりでも、実際はできていないのかも。
・言葉の説明だけでは理解できないことも多い。身をもって実感するって本当に大事だ。
・「なるほど」と納得させられた。これが続くとなると、当事者は本当につらいんだろうな。
人と接する上で大切なのは、相手の気持ちを感じ取ること。しかし、自分が経験したことのない立場の人の気持ちは、理解するのが困難です。
介護も、人と人とのコミュニケーション。今回のエピソードによって、多くの人が、他者を理解する大切さを再認識させられました。
[文・構成/grape編集部]