「体臭クレーム男」は同様の手口で次々と女性たちを毒牙にかけていた。
「あなたの体臭でクレームが来ている」とウソをついて女性をおびき出し、性的暴行を加えようとしたとして、神奈川県小田原市の無職、岩本正道被告(55)が3日、準強制性交未遂の疑いで、県警戸部署に再逮捕された。
岩本被告は東京都渋谷区の会社員女性(22)が勤務する会社に本部の社員をかたって電話し、「あなたの体臭で、会社にクレームが入った」と告げ、「小田原市内にいい病院がある。そこで治療するように」と指示した。
女性は2月11日午後4時過ぎ、小田原市内の宿泊施設に呼び出され、部屋で岩本被告に襲い掛かられたが、抵抗。その場から逃げ出し、すぐに会社に確認したところ、事件が発覚した。
女性は本部の社員をかたる岩本被告からクレーム話を聞き、「このままでは会社をクビになる」と言われたため、動揺して半信半疑で指示に従ってしまったという。
岩本被告は先月6日にも横浜市の会社員女性(23)を小田原市内のカラオケ店に連れ込み、性的暴行を加えたとして、準強制性交の疑いで逮捕、起訴されたばかりだった。
この時も岩本被告は女性が勤める会社の社長を装い、「体臭に関してクレームがあった。原因を確認してもらいなさい」と言って、女性を小田原市内に呼び出した。さらに電話で「カラオケ店に男がいるから、その男と性的関係を持て。そうすれば体臭が消えるから」と、デタラメを言い、カラオケボックスで女性の体をもてあそんだ。
「2人の女性と岩本に面識はなく、岩本がどうやって2人のことを知り、名前や会社、連絡先を調べたか、捜査中です。2人とも体臭に関するクレームと聞き、恥ずかしさのあまり、誰にも相談できず、つい岩本の言うことを聞き入れてしまったそうです。性的暴行を受けた女性は社長をかたる男から直接、クレーム話を聞いたことで、正常な判断ができなかった。そのため、準強制性交容疑を適用した」(戸部署)
■不安をあおり、慾望を満たす
岩本被告は、過去にも悪質な手口でわいせつ事件を起こしている。
「ファストフード店やファミリーレストランの本部社員になりすまし、約1000人のアルバイト女性の自宅の電話番号を聞き出していた。女性たちに片っ端から電話をかけ、『バイトが感染症で入院した。あなたも感染している可能性があるので、医師の診断が必要だ。医師に画像を送るので、これから指示する体の部分を撮影して送って欲しい』と指示し、胸や下半身アップの写真を自撮りさせ、携帯に送信させていたのです」(捜査事情通)
女性たちの不安をあおり、性的欲求を満たすとは、卑劣極まりない男だ。