学び直し、担任は同級生でした 52歳女性、驚きと笑顔の卒業 「自分の道を歩んでいる実感が湧いた」

挑戦に年齢は関係ない-。南風原町で書道教室を営む恩納由佳子さん(52)は1日、泊高校通信制課程を卒業した。16歳で妊娠し高校を中退したが4人の子が自立した2年前、学び直しを決意した。卒業式でくす玉を笑顔で割る恩納さんを感慨深い思いで見つめたのは、3年D組担任の石原貴教諭。実は恩納さんとは西原中学校の同級生だ。当時は面識がなく黙っていたが、卒業を控えた最後の登校日に、恩納さんに打ち明けた。(社会部・新垣亮)
恩納さんが西原高校2年生になった4月、妊娠が判明し中退した。その後、4人の子育てに奔走したが、15年前に夫が病気で他界。一番下の三男の楓さん(25)が大学を卒業して社会人となった2年前、ふと「一人になったら落ち込むのかな」と思うようになった。
「おかーって、高校卒業したっけか」。長男の尚さん(32)はラインで学び直しを勧め、長女の唯さん(35)は資料を集めてくれた。2023年、泊高通信制課程に合格。書道教室を主宰し、リラクセーション店で働く多忙な中での学校生活は個性的な同級生に囲まれ、「感動の毎日で気持ちも若返った」と振り返る。運動会でフォークダンスを踊ったのも楽しい思い出だ。
3年の春、担任になったのが赴任したばかりの石原教諭だった。恩納さんの経歴などから西原中の同級生だと思い出したがその当時は面識がなく、「強いて言う必要はない」と黙っていた。
しかし同僚にも促され、卒業前の1月、同級生だったことを打ち明けた。恩納さんは驚いたが、授業で石原教諭が流した1980年代の洋楽を聴き、同世代だとはうすうす気付いていたという。
卒業証書授与では、石原教諭が恩納さんの名前を読み上げた。「これからも明るく積極的でいて」とエールを送り、「人はいつでも変われると気付かされた。多様な人がいる中、教師のやりがいを感じた」としみじみと語った。
16歳の時に身ごもった唯さんら子どもたち、友人から抱え切れない程の花束を受け取った恩納さん。「学校はチャンスをくれた。人生いろいろあったけど、自分の道を歩んでいる実感が湧く場所でもありました」と笑顔で学びやを後にした。学び直し、担任は同級生でした 52歳女性、驚きと笑顔の卒業 …の画像はこちら >>