地中に1万ナノグラムのPFOS・PFOA 沖縄市の処分場 周辺の農業用水からも

沖縄県環境整備課が2021年度に実施した調査で、沖縄市池原の産業廃棄物最終処分場「倉敷」(旧倉敷環境)の処分場内の地中にたまった水から、最大で有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計値1万ナノグラム(1リットル当たり)が検出されたことが1日分かった。周辺にある農業用水をためたタンクからも同270ナノグラムを検出した。
タンクの水は、処分場から直線距離約1・4キロ地点で取水している。PFHxS(ピーエフヘクスエス)も230ナノグラムだった。
県は「原因は特定できていない」とし、倉敷との因果関係も「不明」という。
国は暫定指針値を50ナノグラムと定めているが、農業用水や作物での基準値はない。
タンクの容量は約440トンで約50戸の農家が使っている。タンクを利用、管理している北美水利用組合の組合長で農家の仲宗根昇組合長(63)は「水を使っても大丈夫かどうか県に野菜を調べてほしい」と要望した。
市は、基準がないため水を使っていいかどうかについて「判断できない。国や県が指針を定める必要がある」と指摘した。同課は18年から周辺への影響を把握するため年1~2回調査しており、21年度は11月に実施。県によると、業者は処分場内周縁の地下水をくみ取り、漏れ出ないようにするなど対策しているという。
旧倉敷環境には在沖米海兵隊が14~15年に泡消火剤142トンを搬入したことが分かっている。(中部報道部・屋宜菜々子)
■作物の調査が必要原田浩二京都大准教授(環境衛生学)の話 農業用水から作物へ有機フッ素化合物が移行する可能性はある。2019年に宜野湾市で、有機フッ素化合物を含む湧き水で栽培した田芋を調査した結果、検出値は1キログラム当たりPFOSの平均値18・9ナノグラム、PFOA7・5ナノグラムと微量だった。作物での基準値はないが、日常的に摂取している量と同等ならば不安を解消できる。基礎的な調査は重要で、行政は作物を調査する必要があると考える。
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