コロナ禍で高騰した中古バイク価格、今後はどうなる? バイク王が調査

コロナ禍で値上がりが続いた中古バイク市場。部品や半導体の不足、物流の滞り、生産遅延などが重なった結果として高騰した中古バイクの値段はここへきて、多少の落ち着きを見せているようです。今後はどうなる? バイク王が調査レポートを公開しました。

○中古バイクの価格推移を振り返る

ここからは「バイク未来総研」の調べによるバイク王の調査レポートです。

2020年からの新型コロナウイルスの蔓延に伴い、バイク部品や半導体の不足、物流の混乱、生産遅延などが断続的に発生したものの、国内の新車出荷台数は上昇の傾向を見せました。2023年は、コロナ需要により大きな盛り上がりを見せた2022年と比較すると前年比で軽2輪(126~250㏄)、小型2輪(251㏄以上)などの排気量でマイナスとなっており、全体としては落ち着きを見せています。

バイク未来総研では2023年までの最新データを読み解き、今後の中古バイク市場の動向を考察しました。

今回は2023年4月までのデータを基に中古バイク市場の推移を見ました。以下は国内の中古バイク、すべての排気量を合計したオークション相場です。中古車データグラフは年間10万台以上の買い取り台数を誇るバイク王の独自データを集計して作成しました。

2020年の平均価格が18万1,187 円だったのに対し、2021年の平均価格は23万7,352円と平均価格は5万6,165円上昇。2022年に入り、ウクライナ侵攻による先行き不安に見舞われた時期の3月には平均価格が下落したものの、落ち込んだオークション相場は同年5月には盛り返し、秋の行楽シーズンとなる2022年10月には過去最高となる30万3,226円を記録しました。その後、冬の需要低下の時期には一旦落ち着くものの、2月より再び回復の兆しを見せています。1年間の平均価格で見ると2021年は23万7,352円、2022年は27万1,822円。前年比で3万4,470円の上昇を見せています。

上記は中古4輪オークション相場の推移です。2022年9月の122万1,000円をピークに、2023年3月の89万8,000円まで30万円以上の振り幅を見せています。中古2輪市場は4輪ほど大きな振り幅はなく、年間をならして見ると緩やかな上昇線を見せているため、2輪市場特有の市場推移であり、堅調な推移であると見てとれます。
○主要な旧車・絶版車の値動きは?

全体の値動きでは緩やかな上昇の動きを見せていましたが、中古車で人気の高い旧車・絶版車の値動きはどうなっているのでしょうか。主要な車種7車種の値動きを見て考察していきます。

2005年頃から緩やかな旧車価格の上昇が始まり、2013年から2014年頃には、さらに一段と価格が上昇。2019年からコロナ需要を背景に価格の上昇が加速し、2021年には急激な価格高騰の波が訪れています。2020年は「おうち時間」など外出せずに家で楽しむことを意味するワードが流行し、家で楽しむ趣味やソロキャンプなども注目を集めました。翌年の2021年は経済面の問題から「外に出る」動き、手段を模索する年となりましたが、依然としてコロナウイルスに対する社会的圧力が強まる中、外出する手段として、「ソーシャルディスタンスを保つことができる移動手段」であるバイクが注目を浴びたのも2021年頃です。

そうした社会的背景と新車供給不足が重なったことで、中古バイクの需要は急速に高まり、2021年の中古車市場全体が相場上昇となりましたが、人気の旧車についてはさらに極端な高騰が見られました。

2022年に落ち着きを見せた値動きは、2023年から新たな動向を示していますが、急激に高騰する前の2020年よりも高い水準を維持しており、2001年からの全体の相場状況としては現在まで上昇を続けていると言えます。

2022年から2023年にかけては、需要の高い車種は再び値上がりし、そうではない車種は低下する動きを見せました。ひとつの例として「CBX400F」のデータから今後の値動きについて考察していきます。下のグラフはCBX400Fの2021年から2023 年までの価格推移です。

○CBX400Fの内訳から見る考察

同じCBX400Fでも、流通台数が少なく希少価値の高いCBX400FⅡ型は2023年に入りさらに値を上げて450万円超となっており、一方で逆輸入車は横ばいの200万円程度、Ⅰ型は2021年から60万円以上値下がりして164万円程度となっています。

値が上がらない逆輸入車とⅠ型の共通点としては、流通台数が比較的多いことが挙げられます。また、流通台数が多いことでレストアを要する状態の悪い車両も割合として増え、平均価格を引き下げる要因にもなり、同じ逆車・Ⅰ型の中でも状態による価格差が広がっています。

2021年の「旧車であれば良し悪しに関わらず高騰する」という状況から、状態が悪い車両は需要低下に伴い価格が低下し、一方で希少価値が高く状態が良い車体は価格上昇を続ける、いわば「二極化」が進むことが考えらます。

今後はしっかりと整備・レストアされた車両はさらに価値を高め、そうではない車両との価値・価格の差がさらに大きくなっていくと予想されます。

バイク未来総研所長の宮城光は以下のようにコメントしています。

「2023年4月までの各種データからは、2021年には世相と相まって旧車価格が爆発的に上がったものの、今後は状態の良くないバイクはそれなりの取り引きがされ、状態の良いバイクはさらに引き合いが強まる時代となっていくように見てとれます。新車供給の動向や今後の世界情勢にもよりますが、コロナウイルスも5類となり、さまざまな行動制限が解除された現状においては、中古バイクの需要は一定数見込めるため、中古バイクの価格は2022年と同水準か、そこから緩やかに上昇していくのではと予想します。コロナ禍によりバイクの価値が見直され、ソロキャンプのように需要が定着し、状態の良いバイクが多く流通するようになるのであれば、業界全体の活性化にもつながりますので、バイク業界に身を置く身として大変喜ばしいことと感じます。今後の推移を見守っていきたいと思います」