5人全員「死亡」潜水艇、水深3800メートルの水圧で船体金属疲労…強度落ち爆縮か

米沿岸警備隊は22日、沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に行方不明になった潜水艇「タイタン」の破片を海底で発見したと明らかにした。水圧でつぶれたとみられ、ツアー運営会社「オーシャンゲート」は乗っていた5人全員が「死亡した」と発表した。米沿岸警備隊も弔意を表明。同隊幹部は、原因究明に向けた調査の長期化は必至との見方を示した。
船舶運航や海底探査にも詳しい神戸大海洋政策科学部教授・若林伸和氏の話
事故の原因の見立てとしては、船体自体の強度が十分だったかというところ。潜水艇はこれまで、海底3800メートルまで行って戻ってを繰り返していた。外は380気圧(※)。硬い金属であっても船体は海底では縮み、戻ると膨らむはず。これが金属疲労になり、強度が極端に落ちる部分が発生する可能性がある。おそらく強度が落ちて金属などの構造体が圧力に耐えられなくなって、爆縮(全方向からの圧力で押しつぶされる破壊現象)という状況になったのではないか。
そもそも、潜水艇で3800メートルの地点に行くというのは安全度はゼロ。海上を普通に走っている船は、捜索救助の態勢がとられているが、深海で何かトラブルが起きれば船体の中で人が生きていたとしても救出の方法はない。お金をとって客を乗せるというのはありえないことだと思います。
※一般的に10メートル潜るごとに1気圧上昇する。380気圧は1平方センチ・メートルに380キロの重さがかかる計算で、小指の爪ほどの面積に380キロの重りが置かれているのとほぼ同じ状態。