JR市川大野駅から歩いて十数分の市川市の住宅街に「こんな場所が」と驚く洋館がある。目に飛びこむのは「ANNE」のオブジェ。日本でもファンが多い物語「赤毛のアン」に特化したカフェで、ゆかりのメニューや花が出迎え、人気スポットになった。
「赤毛のアン」の最初の小説の発表から今年で115年。作者のL・M・モンゴメリの子孫が運営し、作品の権利を管理するカナダのライセンス協会と契約を結んだ「日本で唯一」の公認カフェだという。
この「アトリエ&カフェ 赤毛のアン」の開店は2017年10月。店主の野中紀子さん(52)は同市出身で、陶磁器に花や動物の絵を描く「絵付け」アーティスト。教室を兼ねたカフェを開こうと英国風の館を実家の土地に建てて準備を進めていた14年、NHKの朝ドラマ「花子とアン」の放映にちなみ都内で開かれた記念展で権利関係者と知り合った。
「やるからにはアンの世界観に徹底的にこだわろう」と、舞台のプリンス・エドワード島の郷土料理のレシピ本を参考に、メニューを用意。有名なエピソードがらみの料理には「アンの大失敗 アフタヌーンティー」など野中さんがユニークな名前を付けた。
庭には物語に登場する種類のバラも植え、ファンの期待に応えている。
小学生の時から「アン」のファンの野中さんは「発表から100年経っても色あせない物語。好きな人はもちろん、知らない人もぜひ店で魅力を知り、原作小説ですばらしい世界に触れてほしい」と話す。店の存在をSNSや口コミで知り、半信半疑でやって来て「本当にあった」と驚く客も少なくない。営業は金曜~月曜。問い合わせは(電話)047(320)7287。