スーパーで子どもを叱責の通報も… 沖縄で2285件の児童虐待 「心理的」が7割超

沖縄県警が2022年に虐待の疑いがあるとして県内の児童相談所に通告した子どもの数は2285人(速報値)で、過去最多を更新したことが県警のまとめで分かった。初めて2千人を超え、県警が統計の公表を始めた2000年の20人から100倍以上に増加した。担当者は「児童虐待への社会的な関心が高まり、虐待が疑われるなど早い段階での相談が増えた」と分析している。(社会部・比嘉海人)
県警少年課によると、内訳で最も多いのは、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」を含む「心理的虐待」の1736人(約76%)。次いで「放棄・怠慢(ネグレクト)」282人、「身体的虐待」263人、「性的虐待」4人だった。
過去10年間の通告人数は右肩上がりで、22年は10年前と比べて約50倍に増えている。内訳では、10人以下で推移する性的虐待を除いて全体的に増加傾向。特に19年以降、心理的虐待が千件を超え、全体の7割と高い値で推移している。
県警少年課の担当者は「以前よりもあらゆる所から情報提供があり、全体的に相談件数が増えている」と説明。スーパーで、子どもを過剰に叱責(しっせき)する親を目撃した買い物客が通報した事例もあるという。
また、00年施行の児童虐待防止法に基づき、面前DVなど事件に発展する前の早期段階で児相へ通告するよう警察に義務付けられたことも、通告人数が増えた要因とみられるという。県中央児童相談所によると、20年度の児童虐待の相談経路の約8割が県警だった。
通告人数に比例して、児童虐待の事件も年々増えている。県内では昨年12月、低学年児童に暴行し左手首などを骨折させたとして、40代会社員の継父が傷害容疑で逮捕、起訴された。「しつけ目的でやった」などと供述していた。
昨年12月に成立した改正民法では、親権者に子どもを戒めることを認める「懲戒権」の規定を削除した。県警少年課の担当者は「しつけは虐待の理由に使われているが、昔の『愛のむち』の考え方から、今はしつけの口実でも暴行は駄目だよと世間の認識が変わりつつある」と述べた。
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児童虐待の通告人数の推移