両頬と両耳のあざ・保育園に登園せず…2度もあった『虐待のシグナル』4歳女の子の命は救えなかったのか

4歳に娘を暴行し死亡させたとして三重県津市の42歳の母親が逮捕された事件では、虐待の“シグナル”が2度ありました。なぜ救えなかったのか、経緯をまとめました。 2019年2月、中林ほのかちゃんは3姉妹の三女として生まれました。間もなく中林容疑者が「シングルマザーなので、赤ちゃんがいると仕事ができない」と児童相談所に話したことから一時保護され、6月からは「乳児院」に入所します。 転機は、ほのかちゃんが2歳になった2021年3月に訪れます。中林容疑者が「自分で育てたい」と話し、児童相談所は保育園への入園を条件に「家庭への復帰」を認めました。
ところが1年もしないうちに、虐待を疑う「1度目のシグナル」がありました。2022年2月に「両頬と両耳にあざがある」と保育園から児童相談所に虐待の通告がありました。 この時、中林容疑者は「ベッドから落ちた」などと説明したため、児童相談所は「一時保護せず、3カ月に1回、保育園に対し見守りをすること」にしました。 結果的に、この時が児童相談所とほのかちゃんとの最後の面会となりました。
「2度目のシグナル」は、2022年の夏です。7月8日を最後にほのかちゃんが保育園に通園しなくなり、8月には津市が3歳児健診を案内しましたが受診しませんでした。 児童相談所は、ほのかちゃんが保育園に登園していないことを把握しましたが、本人との面会や聞き取り調査をしませんでした。「元々ほのかちゃんが保育園を休みがちだった」「母親が望まない形で強い対面をするのを避けた」ためだといいます。 ほのかちゃんは5月25日に救急搬送され、26日の朝に亡くなりました。 児童相談所には、虐待が疑われる家庭への「立ち入り調査」や、虐待する親から子どもを強制的に引き離す「保護」などの権限があります。その機会を逃したのかどうか、三重県は今後、第三者委員会で調べるとしています。