小学校のプール授業は近くのスポーツジムで プールの「維持費削減」に加え「教員の負担軽減」も…民間委託で年間約360万円かかるも泳力上がった! 名古屋市

学校内のプールではなく、スポーツジムなどを活用して水泳の授業を行う学校が増えています。ここは、名古屋市中区のスポーツジム。ラ・グラッセ山王橋。名古屋市立正木小学校の児童たちは全員、毎週金曜日、学校から徒歩5分の、このスポーツジムのプールで水泳の授業を受けています。
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(小学6年)「(外のプールは)めちゃくちゃ冷たいシャワー」「雨とかでもできるし、外のプールは寒いときがあったから、中は温かいから良い」屋外の学校のプールに比べ暑さ、寒さに左右されない、スポーツジムのプールは快適です。
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(正木小学校 加賀幸一校長)「子どもたちの評判もとてもいい。他の校長は『うちもやってほしい』と願っているところが多い」
正木小学校では2019年からプールの授業を民間委託していますが、名古屋市内では現在、6つの小学校が民間委託しています。その理由の一つは…プールの老朽化などによる修繕費、維持費のコスト問題があるからです。
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(記者 去年7月)「このプールでけがをした子どもたちは、手や足を底について移動する“わにさん歩き”をしていて擦り傷を負いました」
ここは、名古屋市守山区の上志段味(かみしだみ)小学校のプールです。去年6月、2年生から6年生までの児童63人がプールを利用した後に足の甲やひざ、指先に擦り傷などを負ったことがわかりました。原因は、モルタルを吹き付けた際にプールの底にできた、細かい突起やザラつきでした。
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あれから1年がたち、あらためて上志段味小学校を訪ねたところ…(上志段味小学校 加藤裕美子教頭)「ザラつきがないようにきれいに塗装してもらった。中と側面と」(記者)「水の入ったプールを実際に歩いてみると滑らかです。足を強く底にこすりつけると、キュッキュッと音がするほどなめらかです」
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名古屋市教育委員会は同じようなザラつきが確認された22校のプールを塗装するなどしました。費用は合わせておよそ6800万円に。そして、2020年度から2022年度の名古屋市の予算を平均すると、小中学校などのプールの塗装や故障したろ過器の修理などに、年間およそ2億円が充てられてきました。
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すでに、民間委託した市内6校の場合、スポーツジムを利用すると1校あたり年間およそ360万円の費用がかかりますが、仮に新たなプールを建設するとなると、1億5000万円ほどが必要で、そこに維持・管理にかかる費用が年間およそ280万円と言います。そのため民間委託した方が「メリット」があるという声が多く上がっているのです。さらなる「メリット」は、「教員の負担軽減」です。
(正木小学校 上田真大体育主任)「朝早く来て、塩素の濃度チェックやプールの中のごみをなくすのが結構大変で」
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正木小学校の場合、民間委託する前は教員が、プールに入れる薬品の濃度や水温を管理し、授業中も児童の安全確保に細心の注意を払う必要がありました。しかし、スポーツジムのインストラクターの力を借りるようになってからは、より多くの目で児童の安全を確認でき、丁寧な指導ができるようになったといいます。泳ぎのレベルに合わせて、3つのクラスに分けて細かく指導が行われています。その結果…
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(小学6年)「(泳ぎが)上達した。平泳ぎが得意になった」「クロールがちょっとだけ進めるようになった。教えるのが上手」
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(正木小学校 加賀幸一校長)「間違いなく泳力は、格段に上がる率が高い。これから条件さえ整えば進めていくべきこと、マイナス面はほとんどない」変わりゆく夏の学校の風景…水しぶきの音が学校から消えていくのかもしれません。