貨物取扱量は日本一…名古屋港の情報管理システムが「ランサムウェア」に感染 障害による物流への影響続く

名古屋港でシステム障害が発生し、物流への大きな影響が懸念されています。 貨物の取扱量が日本一の名古屋港。5日、そのコンテナターミナル周辺には、トレーラーが行列をなしていました。 貨物の取扱量「日本一」の名古屋港で、4日午前6時半ごろから続くシステム障害。
トレーラーへのコンテナの積み下ろし作業がストップし、周辺ではトレーラーが大行列。
コンテナターミナルでは、無人でコンテナを運ぶトラックも全く動いていませんでした。トレーラーの運転手:「1時間半(待っている)。復旧した後が怖いですよね。何時まで仕事になるか」別の運転手:「神戸の大震災の時もこんな感じでしたね。情報を僕らは携帯で見ているんですけど、そのサーバーがもう繋がらないんです。困りますね。物流が完全に止まっちゃう感じですよね」 貨物の取扱量が21年連続で日本一の名古屋港で起きた大規模障害。物流への甚大な影響が懸念されていますが、このシステム障害の原因は、身代金要求型ウイルス『ランサムウェア』です。 ランサムウェアとは、機密情報のデータを暗号化し、その復元と引き換えに身代金を要求するサイバー攻撃。システムを運用する名古屋港運協会などによりますと、4日朝に職員が出勤したところ、パソコンが起動せず、さらにシステムとつながるプリンターから脅迫文が印刷されたといいます。
脅迫文は全て英語で、ランサムウェアである旨の記載のほか、特定のサイトにアクセスするよう要求する内容が書かれていて、差出人として特定の集団の名前が記載されていたといいます。 このランサムウェアによる被害は、過去にも度々起きていました。 2022年3月、トヨタグループ「デンソー」に送られた脅迫文。
「Pandora」と名乗るサイバー犯罪グループが、身代金を支払わなければデンソーの機密情報を公開すると、犯行声明を出して脅迫しました。 ほかにも2022年2月、トヨタの仕入れ先の部品メーカー「小島プレス工業」でも、ランサムウェアによるサーバーの障害が発生。
トヨタが一時、国内全ての工場で稼働を停止する事態に発展しました。 経済活動に大きな影響を与えるランサムウェア。今回感染した名古屋港のシステムも、まさにコンテナターミナルの心臓部でした。 障害が発生しているのは「NUTS」というコンテナの搬出入を効率化するシステム。コンテナを運び入れるトレーラーが受付をする管理ゲート、さらにターミナルのどの場所で、どの車両がコンテナを積み下ろすのかなど、あらゆる情報を一元管理するもので、5か所ある名古屋港のターミナル全てに導入されています。
NUTSが正常に運用されない限り、ターミナル内の情報が把握できず、搬出入が滞る状況が続くことになります。 日本経済を担う港で起きているシステム障害。復旧作業は現在も続いていて、協会は6日朝までにコンテナの搬出入作業を再開したいとしています。