札幌ラブホ・頭部持ち去り殺人「両親は認知症、子ども2人は病気がち」被害男性を取り巻く過酷な家庭環境

なぜ被害男性は殺害され、クビまで切り落とされなければならなかったのか──。
札幌市の繁華街・ススキノのラブホテルで、北海道恵庭市の会社員、浦仁志さん(62)の遺体がクビのない状態で見つかった事件。遺体には抵抗した際にできる防御創がなく、死因は刺し傷による出血性ショックだった。浦さんは死後、クビを切断されていた。遺体発見翌日の3日、浦さんの妻が千歳署に「主人と連絡が取れない」と届け出たことから、指紋などの照合の結果、身元が判明した。浦さんは行方不明届を出す数日前からいなくなっていたという。
■なぜ行き先を告げず犯人に会いに行ったのか
浦さんは事件当日の1日(土)、家族に行き先を告げず、恵庭市の自宅から車で札幌市の現場に向かった。ススキノに車を止め、午後10時50分ごろ、ラブホ近くで待ち合わせをしていた人物と合流し、ラブホ2階の202号室に入室。それ以降、消息を絶った。
浦さんはなぜ家族に何も告げず、夜遅い時間にススキノに向かったのか。一緒にいた人物とは、どういう関係だったのか。
浦さん一家は27年ほど前に、家族4人で恵庭市に引っ越してきた。責任感のあるマジメな性格で、約5年前には地元町内会の区長を務めたこともあった。ただ最近は町内会を抜け、近所付き合いも減っていた。
近所に住む高齢女性が「ショックな亡くなり方だったので、精神的にも余計こたえます」とこう続ける。
■両親は認知症で、子ども2人は病気がち
「隣町に住んでいる仁志君のお母さんは、随分前に認知症になり、お父さんも最近、認知症を発症し、2人とも今は施設に入所しています。お母さんからは『仁志はとにかくマイペースな子ども』と聞いていたのですが、一体、何があったのか。テレビを見ていても、ずっと気になっています」
恵庭市の同じ会社で10年以上、浦さんと一緒に働いていた元同僚もこう言う。
「浦さんは苫小牧市の工業高校卒業後、米国の農機具メーカーに就職し、東京や旭川市で勤務していました。その頃、奥さんと結婚し、2人のお子さんが生まれた。ただお子さんは2人とも病気がちで、入退院を繰り返していた。奥さんも看病疲れから体調を崩したみたいです。そういうことが重なり、浦さん自身も心労が絶えなかったようです。『このままではどうにもならん』ということで農機具会社を辞め、家族全員で両親が住む恵庭の実家に引っ越してきたのですが、しばらく経って実家を出て今の家で家族4人で暮らし始めた。その当時は子どもを育てることで精いっぱいだった。おとなしく自分から人に寄っていくタイプではなかったため、人付き合いはうまくなく、精神的にもつらかったみたいです。最近、久しぶりに会った時、『どう?』って聞いたら、『元気です』って話していたのですが……」
浦さんの親族は「突然のことで大変心を痛めており、現実を受け入れることができません」とコメントしたが、ラブホの一室で2人きりになった犯人との間に何があったのか。周囲とのトラブルもなかったことから、謎は深まるばかりだ。