〈札幌ホテル・首切断〉事件から1週間…防犯カメラに映る2人は“女性”と“女装”? 捜査に立ちはだかる大きな壁とは。「Aさんはとても目立っていた」事件当日ディスコイベントに参加する姿が

札幌市中央区の繁華街すすきののホテルの客室で道内在住の男性Aさん(62)が殺害された後、頭部を切断して持ち去られた事件は、7月9日で発覚から1週間となった。北海道警は札幌中央署に捜査本部を設置、240人態勢で捜査しているが、容疑者の特定につながる有力な手がかりはつかめておらず、捜査は難航している。事件当日のAさんの行動を振り返る。
亡くなったAさんは、現場から直線約20キロ離れた恵庭市内の一軒家で暮らしていた。結婚して家庭を築き、地元の企業に長年、真面目に勤め、近隣住民からの評判もよかった。
現場となった、すすきののホテル(撮影/集英社オンライン)
「普通って言葉がよく似合うくらい普通な人でしたよ。仕事も高校卒業してから地元企業の工場で真面目に勤めていたし、悪い噂は聞かないね。スラッとしてるわけでもないし、かといって老けてもない。バイクが趣味だったみたいで、たまに洗車している姿も見ました。物静かで温厚、責任感もあって真面目な性格だからか、町内会の仕事も率先してやってくれた。近所でも恨まれたり嫌われる人では絶対ないし、事件の舞台が繁華街の“すすきの”と聞いても、イメージとかけ離れてますね。ご夫婦はとても仲がよさそうでしたし…」(近隣住民)Aさんは7月1日、自宅から車で札幌市に向かった。行先は家族に伝えていなかった。中央区内の有料駐車場に車を停め、市内で行われたディスコイベントに1人で参加したという。「このイベントは毎年定期的に行われてたんですけど、コロナを挟んだこともあって、4年ぶりの開催でたくさんの人が楽しみにしていました。毎回600人以上は人が入ってるけど、今回はもっといたんじゃないかと思います。参加者の年齢層はだいたい40代から60代、DJもおじさんたちだし、流す曲も70年から90年代のディスコの流行曲とかユーロビートで、参加者の年齢層は高いんです。まるでハロウィンみたいに仮装だったり派手な格好してる人もいたし、女装やドラァグクイーンみたいな人も多く参加してました」(イベントの参加者)イベントの参加者が書きこんだSNSには、盛り上がるAさんの姿が残されている。ディスコ関係者によるとAさんは「とても目立っていた」と話す。
イベントで目立っていたAさん(右)
「Aさんは今回のイベントではとても目立っていたので、いろんな方に声をかけられていました。前にこのイベントに参加していたときはシックな大人の女性という格好で、本人も『こういうの好き。音楽が好き』という話はしていました。今回は宇宙人の格好をして踊っていて、知らない人にも声をかけられていて、イベント中いろんな人と絡んでいました。ここには1人できて、1人で帰っています」(ディスコ関係者)
イベントの後、Aさんは現場となったホテル近くである人物と合流している。道警が事件に関与したとみている人物だ。午後11時ごろ、2人はホテルの202号室に入室した。警察の捜査に協力した、ある飲食店員が話す。「聞き込みの刑事さんに防犯カメラの映像を見せられました。ホテルに向かう途中だと思いますが、Aさんが1人で歩いているところの映像でした。顔についてはギリギリ無表情というのがわかるくらいで、黒髪のショートカット、白を基調にしたファッションで肩出しのスカート姿でした。これも推測ですが、両手に紙袋を持っていたので、どこかで着替えて姿を変え、服なんかを紙袋に入れて持っていたのかもしれません。警察に62歳と聞きましたが、とてもそんな年齢には見えず40代くらいに見えました。容疑者とみられる人物についても見せられましたが、そちらはテレビの映像と大差なく、帽子を目深に被っていて女性か男性かと聞かれると、ちょっとわかりませんでした」
Aさんが同行者と待ち合わせた場所(撮影/集英社オンライン)
約3時間後の2日午前2時ごろ、ホテルの防犯カメラにはAさんと一緒に入室した人物が、1人で出ていく様子が映っていた。同行者は小柄で、スーツケースを引いていたが、入室時とは異なる上下黒い服に着替えていたという。「ホテル従業員によって浴室でうつぶせの状態でAさんは見つかりました。致命傷は刺し傷で死後首を切られ、血抜きをされ遺体は白くなっていたといいます。同行者はAさんの頭部と共に服や持ち物も持ち去っており、持参していたスーツケースに入れたと思われる。Aさんのこの日の服装や姿を考えるといろいろ深読みしてしまうかもしれませんが、Aさんの周囲を取材していくと、同行者は女性である可能性が高い」(社会部記者)すすきの界隈の店では“Tちゃん”というニックネームで知られていたAさんは、妻が翌3日に行方不明届を出したことから、指紋が一致し、身元が特定された。7月9日午前2時、事件現場周辺では20人以上の捜査員が、歩行者や運転者に声かけをおこなっていた。「先週このあたりを通りませんでしたか?」「車にドラレコはありませんか?」とホテル周辺を出入りするカップル客や風俗店関係者、デリヘル業者にも声をかけていた。
声かけをする捜査員(撮影/集英社オンライン)
「最初のうちは現場周辺には防犯カメラが複数あるし、逮捕も早いとみられていました。ですが身元の判明に時間がとられ、さらに被害者の交友関係の洗い出しも難航している。さらに、あのあたりはいわゆる“立ちんぼ”といわれる人たちも複数おり、流しの可能性も捨てきれない。捜査員も必死で同行者の行方を捜しています」(社会部記者)事件の早期解決が待たれる。※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班