バスでASDの息子がパニック寸前! 見知らぬ女性の『一言』に心打たれる

「困っている人がいたら助ける」という教えは、家庭や学校などの場で、子供の頃からよく耳にします。
しかし、相手が初対面の人である場合、人助けをするのは簡単なようで、実は勇気を要するもの。
いざ声をかけようと思っても、つい「余計なお世話かもしれない」「周囲の人から注目を浴びてしまったらどうしよう」などの考えがよぎり、迷ってしまうのは仕方のないことといえるでしょう。
花森はな(hanamori_h)さんが描いたのは、バスで体験したエピソード。
自閉スペクトラム症(通称:ASD)である息子さんは、ストレスのかかる状況に立たされると癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうため、外出時にヘルプマークを身に着けることがあるといいます。
※写真はイメージ
難病の人や内部障害、精神障害など、支援を必要としていることが外見からは分からない人が身に着ける、ヘルプマーク。
その日、息子さんは花森さんの同行のもと、通院のために満員のバスに乗り込んだのですが、さまざまな要因によって発作を起こす寸前になってしまいました。
誰もが多少は息苦しさを覚える、マスクをした状態での混雑したバス内。
息子さんは、この状況がいつまで続くのかが分からず、強い不安を覚えていたのかもしれません。
それを察したのか、見知らぬ女性は、たとえウソでも『遠すぎず近すぎない、目的地までの具体的な数値』を伝えることで、息子さんの不安を軽減してくれたのです。
女性の気遣いに心打たれた、花森さん。その後は、息子さんと外の風景を見ながら「あの店が見えるから、目的地までもう少しだね」と、ゴールを意識できるような言葉をかけていたといいます。
強いストレスがかかった状態で耳にした女性のひと言は、息子さんと花森さんを前向きにしてくれたのでしょう。漫画を読んだ人からも、女性を称賛する声が上がっています。
このエピソードで素敵なのは、その結果だけでなく、女性の「困っている人を助けたい」という強い想いによる行動。
他者と助け合える社会は、多くの人にとって『優しい世界』といえるでしょう。あなたが困っている人に出会った時は、勇気を出してひと言でも声をかけてみてはどうでしょうか。
その勇気と優しさは、きっと助けた相手を通して、自然と社会に広がっていくはずです。
[文・構成/grape編集部]