愛知県内で作られた農作物は集荷された後、大都市圏に出荷されていきます。日本一の青物市場「大田市場」には毎日、全国からたくさんの野菜や果物が運び込まれます。その中で、愛知県産の農作物をアピールするため、日々奮闘する女性の日常に密着しました。
なぜ?東京の卸売市場に常駐して早朝から働く県職員 使命はでき…の画像はこちら >>
国内最大の青物市場、東京の「大田市場」の敷地は39万平方メートルで、バンテリンドーム8個分です。毎日全国の野菜や果物約3800tが取引され、その取引金額は1日あたり、約12億1000万円にも及びます。その市場の中を、背中に大きく「AICHI」と書かれたジャンパーを着て動き回っている女性が。
愛知県東京事務所・行政課主幹の下山幸子さんは、2022年4月から大田市場に常駐しています。下山さんに課せられた使命は、いかに愛知県産の野菜・果物を「たくさん」、「高く」売りこむか。国内有数の生産を誇る愛知県の農業を支える重責を担っています。(愛知県・下山幸子さん)「競合他産地の情報も含めて、最近の情報を教えてほしいのですが」
国内最大の消費地・東京で、今どんな野菜が求められているのか。飲食店やスーパーと繋がり、買い付けを行っている「仲卸業者」の本音を聞くのも重要な仕事です。仲卸業者から情報収集ができるのは、競りが行われている朝7時頃から約1時間だけ。下山さんは、市場を動き回りながら積極的に業者から聞き取りを行っていきます。
大田市場で扱われる愛知県産農産物の取引量のうち、大葉やイチジク類、キャベツは全国1位。また、ミニトマトが全国2位、トマトが全国3位など健闘しています。
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ミニトマトを作る地元愛知の生産農家では、一日およそ3300パックを出荷し、その多くは東京の大田市場へと向かいます。
(ミニトマトの生産農家・金江遼真さん)「愛知県を代表するトマトを作っているぞという思いで。いいものを届けて“自分が一代表なんだ”という思いで、いいトマトだけをお届けできるように、しっかり評価してねというような思いを込めて、お届けをしています」
この全国一の青物市場で、愛知の野菜を売り込んでいくために、下山さんたちは年に7回以上、「品質査定会」を開催。卸売業者に愛知県産農産物を見てもらい、“見た目”や“味”で良いところ・悪いところをチェックしてもらい、生産農家にフィードバックします。
(チェックを担う東京新宿ベジフル・斎藤賢さん)「(Q愛知のトマトの評価について)品質でもやはりリードしているので、それを最後まで出荷するまでの間(品質の維持を)続けて、お客さん、消費者に届けてもらえれば。品質が悪いと、どうしても最後には(流通先から)『いい産地にかえてくれ』という話になってしまう」
今回の品質査定会の収穫について、下山さんは…。
(愛知県・下山幸子さん)「真剣に厳しい意見も言っていただけますので、『あっ!そんなふうに、そういうことだったんだ!』という気づきもありました」
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下山さんは、毎日市場に詰めて情報収集を行う一方で、イベントを行うこともあります。この日は、地元・愛知県豊川市から市長自らセールスにやってきました。地元愛知の産地から行政トップを呼んで、直接PRする場も設けているのです。
(豊川市・竹本幸夫市長)「こういったトップセールスをすることによって、豊川市の良質な野菜類を中心に皆さんに知っていただいて、より活発な取引を期待しています」
東京・下北沢のスーパー「オオゼキ下北沢店」では、店の一番目立つところに豊川市をはじめとする愛知県産トマトが並んでいます。静岡県や和歌山県のトマトもありますが、よく売れていたのは、価格もお値打ちな愛知県産でした。
朝6時50分。今日も競りが始まります。
(愛知県・下山幸子さん)「あの大きな市場の中で、愛知県のものを見つけると『よく来たね』という気持ちでうれしくなって迎えるような形なんですけれども。東京在住を武器に、愛知の魅力を発信して“愛知県のブランドだったら買おう”というふうに、全国の人が思っていただけるようにしていけたらと思っています」
全国から野菜が集まり、しのぎを削る日本一の青果市場。愛知県から遠く離れた東京で、下山さんは今日も愛知産の農作物を売り込むため、市場を駆け抜けます。
CBCテレビ「チャント!」6月27日放送より