前回覇者の市船橋が9点差をひっくり返す逆転劇。4番打者で、主将の篠崎大耀は「勝ったことがまずうれしい。自分たちならいけると思っていた」と殊勝に語った。
先発投手が早々とつかまり、一回に大量失点する中でも笑う余裕があった。春先の練習試合では10点ビハインドから勝った経験もあった。三回終了後の飲水タイムに口々に言い合った。「大丈夫。まだまだここから」。言葉通り、直後の攻撃から猛反撃が始まった。
四回、先頭の篠崎主将が右前打で出塁し流れをつくり出す。単打でつないで次々と走者を返し5点を奪った。八回の犠飛で同点に。最後は「まさか入るとは思わなかった」と田中淳弥の公式戦初アーチが右翼で弾み、計30安打が飛び交った打撃戦に終止符を打った。
西片大翔、工藤将祐の2年生投手リレーで四回以降は相手打線を封じたことも勝因。工藤は「先輩の自分たちがカバーしたかった」と有言実行の3回無失点。直球とスプリット系の落ちるボールのシンプルな組み立てながら、相手に付け入る隙を与えなかった。
弾みの付く勝ち方で16強に名乗りを上げた。田中は「この試合で成長できた。雰囲気は最高潮。流れに乗っていける」と不敵に笑った。