直木賞受賞の永井紗耶子さん、受賞会見でニッコリ「恐悦至極って、こんな感じかなって思いました」

「木挽町のあだ討ち」(新潮社)で第169回直木賞に輝いた永井紗耶子さん(46)が19日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた受賞会見に登場した。
2回目のノミネートでの受賞となった永井さんはシックな紺色のワンピースで登壇。まず「一報を受けてからうれしいのと、怖いのと、なんだこれ?というのが極まってくると、こういう感じなんだって。ひっそり書いていたところから光のあるところに急に出た恐れと喜びが極まっていくって、こんな感じかな、恐悦至極って、こんな感じかなって思いました」と笑顔で話すと、「皆さんの応援があって、ここまで来れて良かったなと思ってます」と続けた。
山本周五郎賞とのダブル受賞となり、半年間に及んだ新聞連載も今月20日で終了のタイミングでの直木賞受賞に「今年上半期、走り切ったなって感じがあります。山をいくつも越えたなって感じがあります」と、ホッとした表情を浮かべると「この作品は楽しく書けたから楽しんでいただけるかなと思ってました。歴史小説でも難しいというハードルがないという作品。読みやすさという点では自信を持っていたんですが、周五郎賞、直木賞という遠くに見上げていた賞に届くとは思っていなかったです。望外というか大変、光栄なことです。なんて幸せなんでしょうという所です」と続けた。
司馬遼太郎さんに憧れて産経新聞社に入社した経歴を持つ永井さん。「支社にいたり、ライターをやったりの経験から目の前に登場人物を座らせてしゃべらせる感じ。どの人も自分の想像を超えることをしゃべってくれなければ作品は失敗と思って書きました。今回、しゃべってくれるまで待った面白い経験でした」と創作法を明かすと、最後に「本当にこの作品はたくさんの方に応援いただいて、ここにたどり着けました。ここまで出会ったすべての方々の言葉だったり、出会いがあったからこそ書けた作品だと思っています。今後もこの賞に恥じないよう精進して参りたいと思います」と頭を下げた。
選考委員を代表して会見した浅田次郎氏は「1回目の投票で4人が残りました。1回目で垣根さんと永井さんが全く同じ点でトップ。2度目の投票を行った結果、同じ得点で同じ時代物2作に決まりました」と話した上で「永井さんは大変、技巧的な素晴らしい仕上がりの作品。1ページも読み飛ばせない細かく繊細に書いた、うまい小説という評価でした」と話した。(中村 健吾)