起訴内容は「何もない」と認める…くら寿司での“醤油舐め”動画で逮捕・起訴の21歳男が裁判に臨むまで

2023年2月、回転ずしチェーンの「#くら寿司 」で店内で、醤油さしを口に含む動画をSNSに投稿し、店の業務を妨害したとして逮捕・起訴された21歳の被告の裁判が20日から始まりました。動画の炎上から半年、裁判に臨む被告の姿を取材しました。 ペンキ塗りの指導を受ける、吉野凌雅被告(21)。法廷で裁かれる身です。
親方:「今これは見本やから何回もいじってるけど、普通は一回で終わり、一発勝負。一回失敗したら二度と戻らん」 やり直しがきかない外壁塗装の仕事。慣れない手つきでペンキを塗る吉野被告には、取り返しのつかない過ちを犯した過去があります。 回転ずし店で醤油さしを口に…。今から半年ほど前、金髪だった吉野被告です。
今年2月、名古屋市中区の「くら寿司」の店内で撮影された動画がSNSで拡散しました。事態を重く見たくら寿司側が被害届を提出し、動画に映っていた吉野被告が逮捕される事態に発展しました。 吉野被告は、動画の影響で店にクレーム対応などをさせた威力業務妨害と、自身の生活費を「援助交際」で稼がせるために、当時15歳の少女を連れ出した営利誘拐の罪で起訴されました。吉野被告(2023年4月):「ご迷惑をかけて、本当にすみませんでした」
逮捕されてから45日がたった今年4月、保釈保証金300万円を納付して保釈されましたが、15秒の軽はずみな動画は重い代償となりました。 保釈から約2か月、吉野被告は名古屋から200キロ離れた大阪府岸和田市にいました。
親方:「赤入れることによって、どんだけ色が変わるかわかる?」吉野被告:「これでだいぶ近くないですか?まだまだですか?」親方:「おっちゃんから言わせれば、赤入れすぎ」 弁護士の紹介で塗装工としての仕事を教わりながら、更生を目指していました。ムラにならないよう塗るには、経験と技術が必要です。吉野被告:「休みは日曜だけで、週6で。(5月分の給料は)5万くらいですね。大体日当9000円で」
技術を身につけなければ、食べていくことができない世界です。 事件当時、居場所のない少年少女が集まる名古屋の「ドン横」などに度々出入りしていた吉野被告は、定職にはつかず、主な収入源は少女に「援助交際」をさせて得た金でした。 多くの人に迷惑をかけた寿司店での行為…。汗を流して働く今、自らの行いの愚かさを理解できたのでしょうか。吉野被告:「自分が当時おかしかった部分とか抜けていた部分というのを、働きながらちゃんと更生して反省して、もう二度と起こさないために頑張ろうと思っています」 迎えた20日の初公判には、黒い髪、黒いスーツで現れました。吉野被告:「まずは謝罪したいという気持ちです。罪を償っていく場所だと思っているので、裁判所で自分の反省した点と、今後どうしていくかを発言していきたいと思っています」
待ち構えていた大勢の報道陣に一礼して裁判所へ入りました。吉野被告は法廷で、裁判長をまっすぐ見つめ、「何もないです」と起訴内容を認めました。 威力業務妨害罪について検察側は、回転ずし店での迷惑動画投稿・拡散が相次いでいた中での犯行は、「『もう回転ずしには行けない』という飲食店への不安を高め、食の安全に対する社会の信頼を損なった」などと指摘しました。「被害店舗は消毒作業などの人件費に少なくとも57万円を費やしたほか、売り上げにも影響を及ぼした」と主張しました。 次の裁判は9月8日で、吉野被告本人への被告人質問などが行われます。