岸田文雄総理が中東訪問 経済関係強化の裏側にある大きな懸念とは

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岸田文雄総理は7月16日から4日間という弾丸日程でサウジアラビア、UAE、カタールの中東3ヶ国を訪問した。
日本は石油の9割を中東に依存しているが、この3ヶ国は日本にとってとくに重要な産油国である。
今回の歴訪で、岸田総理は原油の安定供給の重要性について3ヶ国それぞれの指導者と認識を共有した。また、日本の企業数十社も同行し、先端テクノロジーや脱炭素、医療など幅広い分野で日本が経済協力を促進していくことで一致した。
同3ヶ国と日本の関係は長年、売り手の産油国と買い手の消費国という構図だった。
しかし、サウジアラビアなどが石油に依存しない経済の多角化を目指す中、日本としては上述の分野などで協力を促進することで、相互依存と信頼醸成をさらに図りたいところだ。
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しかし、日本には1つの警戒感があるように思う。近年、中東では米国の存在感が低下する一方、経済分野を軸に中国が中東諸国へ接近を図っている。
昨年もバイデン大統領がサウジアラビアを訪問した際、歓迎ムードはそれほどなかった一方、習近平国家主席が訪問したときは熱烈な歓迎ムードだった。
戦争やテロが絶えなかった時期もあるが、日本が中東諸国と良好な関係を築き、安心して原油を輸入し続けてこれたのは、米国が中東で影響力を保ってきたからと言っても過言ではない。それが今、変わろうとしているのだ。
中国が影響力を強める中東秩序の行方は誰にも分からない。米中対立や台湾情勢によって日中関係が悪化すれば、日本は中国と関係を深める中東諸国とこれまでのような良好な関係を維持できなくなるリスクもあろう。
今回の訪問の背景にもそれへの懸念が見え隠れする。