昨年9月に5回目の覚せい剤取締法違反の罪で逮捕された女優・三田佳子の次男、高橋祐也被告(43)。その判決が7月31日、東京地裁で言い渡された。内容は懲役2年(うち4カ月は2年の執行猶予)。祐也被告は2007年の3回目の逮捕の際、懲役1年6ヶ月の実刑判決を受けたこともあり、控訴しなければ16年ぶりに収監されることになる。「集英社オンライン」では7月28日、祐也被告をよく知る長年の友人A氏を取材。逮捕前の様子や、異常な金銭感覚、あまりに複雑な両親との関係性など、想像を絶するこれまでの生活ぶりを聞いた。
高橋被告が4回目の覚せい剤取締法違反で逮捕されたのは2018年9月10日。母・三田佳子によって保釈金300万円が支払われ、懲役2年6ヶ月、保護観察付き執行猶予5年の判決を受けた。それから4年、まだ執行猶予中の身でありながら同容疑での5回目の逮捕となった。
2018年以前の祐也被告(知人提供)
「過去の覚せい剤使用について、祐也は反省などまったくしていません。『海外の役者は薬物で捕まってもすぐに復活できたりするのに、なんで日本はこんなにうるさいんだ』といつも話していました。実際、4回目の逮捕後も生活自体はまるで変わらず、覚せい剤を我慢する様子はなかった」(祐也被告をよく知る長年の友人A氏)保護観察付き執行猶予中だった祐也被告は、尿検査が月に一度義務づけられていたという。そこでは薬物反応はでなかったというが…。「検査前に中央区のあるクリニックに通い、1回5万円ほどの点滴を受けると、なぜか次の日は尿検査で薬物反応が出なくなると彼は言っていました。4回目の逮捕後から今回の逮捕に至るまで、何度も祐也に説教しましたよ。『もう若くないし何より体が危ない。クスリだけでなく酒もほどほどにしろ』って。そのときは本人もちゃんと納得してくれるのですが、もうまともな判断力がなくなってしまっているので、結局同じことを繰り返すんですよ。精神状態もおかしくて、裁判でも『神の声が聞こえる』とかよく言っていました。5年くらい前には、部屋に神棚のような小さい祭壇を作っていました」祐也被告は、ぶつぶつと呟きながら祭壇を拝み、ときには模造の日本刀を振り回すこともあったという。「とても人前に出せるような状態ではなかった」とA氏は証言する。
東京地裁(撮影/集英社オンライン)
「祐也はこれまで俳優の仕事を少ししただけで、それ以外はまともに仕事をせずにきてしまった。すがるものが何もなく、すぐに酒やクスリに頼ってしまう。元々の性格が陰湿的なので、不安もどんどん増幅して暴れてしまう。酒を飲んでも、明るく楽しくみたいな感じにはならないんです。覚せい剤だけじゃなく、抗うつ剤にもハマっていて、クリニックをいくつも回って入手していた。そういう意味では体だけでなく、心もボロボロだったのかもしれないですね」
何も仕事をしていない祐也被告が覚せい剤を手に入れることができたのは、やはり“甘すぎる親”からの“資金提供”が原因だった。
薄毛であることを自虐でSNSに書き込んでいた
「今回の逮捕前には毎月の小遣いを減らされていて、それが原因で鬱っぽい状態もひどくなっていた。でも減らされたとはいっても、まだ月に100万円単位でもらっていました。長年、親を脅せばすぐに大金を引っ張ってこれたので、彼にまともな金銭感覚などありません。祐也に物心がついた頃は両親が一番忙しい時期。お手伝いさんに育てられ、親の愛情をまったく受けてこなかった。そのぶん、金銭的には異常なほど過保護に育てられたのです。捕まる前に祐也が話していましたが、ひどいときは毎日5万円分の覚せい剤を買っていたそうです。月に覚せい剤だけで150万円、当時自宅マンションは南青山にあり、その家賃が50万円。あとは飲み代が100万円、合計で月300万円を使うこともあった」(A氏)歌舞伎町のキャバクラなどで飲み歩いていた祐也被告。支払い時に手持ちの現金が足りないときは父親に電話をし、命令口調で金を要求していたという。
繁華街でポーズをとる祐也被告(知人提供)
「親父さんが何十万円というお金を持ってきて、会計するんですよ。数年前にも見かけたことがありますが、もう82歳なのに、そんな使われ方して可哀想ですよ。三田さんは4度目の逮捕のとき『卒母宣言』もして、確かに昔ほど祐也にかまっていた様子はなかった。でも祐也が暴力沙汰を起こしたら、すぐにあの家族は示談に動く。やはり完全に突き放すことなど出来ないようでした」
息子が40歳を超えてなお、多額の小遣いを与え続けた両親。それには、拒めば高橋が暴力をふるうという理由もあった。「甘やかし続けることのみがモンスターを抑える唯一の方法だった」とA氏は両親を庇った。「最近も親への暴力は続いていましたね。昔みたいに父親に馬乗りになってボコボコ殴る、ということはなくなりましたが、機嫌が悪いと不意に殴ったりとかね。これまでに何度も目の前で親を殴るのを見ていますし、何度も止めましたよ。特に父親への恨みと当たりが強い。なんでそこまでやるんだと問い詰めたら、『あいつらは一度俺を見捨てたんだ』と。真面目な顔で『過失致死なら懲役は長くないよね』と言うこともあって、本当にいつか父親が殺されてもおかしくないなとも思いました。4度目の逮捕後、毎年秋冬ぐらいの季節になると父親が業者を雇い、無理やり祐也を世田谷の病院に入院させていました。ガタイのいい男たちに羽交締めにされながら、拉致されたみたいに連れていかれるのです。それが苦痛だったようで、なおさら恨みが増幅していった。父親も、あれだけ暴力をふるわれているのに、精神科のクリニックや、いろいろな場所への送迎をやっていました。もう定年を迎えて時間があったからだと思いますが、複雑な気持ちで見ていました」
猫とたわむれる祐也被告(知人提供)
公判に出廷した父親は、祐也被告と同居の意思を表明していた。判決のあった7月31日にも父親は法廷に足を運び、傍聴席から祐也被告を見守っていた。裁判では、本来なら息子のほうが面倒をみるべき高齢の父親が、被告のサポートを確約していることが評価された。父親に暴力を振るい、その一方で甘え続けた祐也被告は、結局父親の助けを借りることとなった。とはいえ、祐也被告は2児の父でもある。後編では祐也被告自身の父の顔と、話題になった元アイドルとの今の関係を詳報する。取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班